22話 私は信じるよ
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ワンナウト走者1・3塁。打席には4番の希が向かう。犠牲フライでも1点。新越谷は先制のチャンスである。
初球のスライダーを見逃し、次の球をカット。梁幽館バッテリーはテンポ良く希を追い込んだ。
3球目は様子見で一つ外しB1ーS2。これがプレイボールから8球目で投じられた初めてのボール球である。
4球目。梁幽館バッテリーはストライクゾーンからボールに落ちるスライダーで三振を取りにいくが、希はそのスライダーを狙っていた。希は掬い上げる様に右中間センター寄り方向へ弾き返す。新越谷一同は先制を確信した??????一人を除いて。
「??????っ!?稜ちゃんストップっ!」
正美だけがセカンド、白井の動きに気付いた。白井は打球をその双眼で捉え、センター方向へ下がりながら打球を追う。彼女がボールに向かって跳び上がり、左腕を伸ばすと、白球は彼女のグラブの中に収まった。
稜は慌てて1塁へ引き返すも、稜の帰塁より早く白井の投げたボールが中田のミットに収まる。
「アウトっ」
スリーアウト、チェンジ。梁幽館はダブルプレーでピンチを切り抜けた。新越谷にとっては最悪の形で攻撃を終える。
「ドンマイドンマイ。今のはしょうがないって」
正美は俯きながらベンチに戻る稜に寄り添い、その背中を軽く二度叩いた。
「ごめん。正美はちゃんと気付いたのに??????」
ベンチでも希が目に涙を浮かべて落ち込んでおり、その横では芳乃も苦虫を噛み潰したような顔をしている。そんな中、詠深一人が不満げな表情を見せた。
「こら!まだ初回の攻撃が終わっただけだよ。私1球も投げてないのにお通夜は困るなぁ。私がKOされてからにしてくれない?」
そう言って、詠深はマウンドへ向かった。
「ほらほら。詠深ちゃんの言う通り、まだ試合は始まったばかりだよ!がっちり守って、ちゃんと私の見せ場作ってよー」
正美は稜と希の二人にグラブを渡すと、ベンチから出るように促す。
「芳乃ちゃんもしっかり前を見て。相手の新レギュラーの情報が更新されたんだから、ビシッと作戦を立てないと」
「??????そうだね。みんなの夏が掛かってるんだから」
芳乃は額に汗を浮かべながらも、精悍な面構えでグラウンドを見据えた。
守備練習の時間が終わり、正美はベンチの前に出て、練習に使っていたボールを回収する。
梁幽館の1番打者がバッターボックスに入った。梁幽館高校の攻撃が始まる。
主審よりプレイが掛かる。
左打席に立つのは陽。昨年夏から6割以上の打率をキープする梁幽館不動の1番打者。
詠深は額の上まで振りかぶり、ゆっくりとしたフォームからストレートを外角に投げ込んだ。
取
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ