暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
三回戦前
17話 フォーム変えちゃおうか
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の盗塁を見て難しい顔をする。

「ああ。咲桜の小関にも引けをとらないだろう。小林、刺せそうか?」

 中田は県内塁間最速と言われるの小関を引き合いに出した。彼女は小林に確認する。正美の盗塁を阻止できるか、と。

「いえ。ストレートからの送球でもどうか……」

 盗塁阻止は極めて困難、という見解を小林は示した。

 そして、場面は試合の最終打席。正美がサヨナラを決めたシーンだ。

「ストレート2球見逃して、あえて難しいコースのスライダーを打ちにいった……スライダーを狙ってた?」
「いや、どちらのストレートも体はしっかりタイミングを合わせている。少なくとも2球目は打てたはずだ。しかも、影森のピッチャーは当ててからスライダーを投げていない」

 メンバーの一人の言葉を中田は否定した。

「これは私の予想なんだが……」

 中田の仮説を聞いた一同は同様に疑問符を浮かべる。

「わざわざその為に?」
「あくまで私の仮説だ。合っている保証もない。だが、彼女は試合でその様な事が出来るだけの技術や余裕があったという事は確かだ」

 この中田の言葉に一同は驚く。

「背番号10って事は控え選手ですよね?レギュラーは全員手を抜いてたとか?」
「いやいや。流石にないでしょ」
「なら何でこの子が控えにいるのよ?」
「??????心臓が弱いとか?」
「そうなら代走では出ないって」

 一同の間に憶測が飛び交う。

「友理、彼女のデータは無いのか?」

 マネージャーの高橋 友理は中田の問いかけに首を横に振った。

「名前が三輪 正美という事以外は何も……過去の経歴は一切不明です」

「??????これ厄介な相手になるかもしれないな」

 そう言う中田を始め、正美の映像を見ていた者達は不気味さすら覚えるのだった。
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