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天才少女と元プロのおじさん
三回戦前
17話 フォーム変えちゃおうか
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 正美は白菊のフォームが改善された事を確認すると、素振りに戻って行った。






 梁幽館高校野球部。部員数は100を超え、毎年、県内外から有力選手を多数スポーツ推薦で獲っている。激戦区の埼玉県において夏5回、春2回の全国出場を果たした、誰もが認める強豪校である。

 ここ梁幽館でも2回戦に向けたミーティングが行われていた。

「最初の難関、宗陣は本来ベスト16以上で当たる相手だ」

 キャプテンの中田 奈緒はメンバーの前に立ち話している。強豪梁幽館でキャプテンのみならずエース4番の席に座る彼女は高校通算50本塁打を記録している埼玉高校野球切ってのスタープレイヤーの一人である。

「それを突破できた事でしばらく楽な相手が続くと気が緩んでいる事だろう」

 中田のこの言葉にメンバーの何人かが気まずそうに視線を逸らした。

「それは必ずしも悪い事では無い。格下と思えるのは激しい練習に耐え、強者の自覚を持っているからだ。ただ野球をナメるな!何があるか分からん。自信をもっていつも通り勝つぞ!」
『おおっ!』

 中田の発破を掛ける言葉に一同が応える。

 この場は解散となるが、何人かは新越谷対影森の映像を見る為、この場に残った。

 白菊のホームランのシーンになると、ノートパソコンに映る映像を見ていた者達は彼女のパワーに感心を覚える。

「岡田と大村……打線ではこの二人は要注意だな」

 中田はそう呟くと、レフトのレギュラー、太田は怜とガールズ時代に一緒にプレイしていた加藤 千代を呼んだ。彼女は懐かしそうに画面の向こうにいる怜を見つめていた。怜の活躍を心から喜んでいる様子。

 場面は伊吹の登板シーンに変わる。初心者のアンダースローが投げていると聞いた吉川が疑問符を浮かべた。

「初心者?エースは投げてないんですか?」
「5番と7番の継投だよ」

 映像を最初から見ていた二塁手のレギュラー、白井が吉川の疑問に答える。

「初戦、絶対勝ちたいだろうに温存しやがったな」
「……隠したというのが正しいかもね。どんなピッチャーか全く分からないし」

 吉川の言葉に、キャッチャーの小林が訂正を入れた。彼女の読み通り、これは芳乃の作戦である。この作戦により、梁幽館は試合開始まで詠深の対策を練ることが出来ない。

「ま、こっちも私を温存していたし、五分だろ」
「あんたはただの二番手よ」

 調子付く吉川を小林は容赦なく切り捨てる。吉川のこういう所が珠姫や小林を容赦のない口先にしたのかもしれない。

「この代走速いぞ。2人も確認しておけ」

 中田に呼ばれた吉川と小林はノートパソコンの前に戻った。巻き戻された映像が再び再生される。

「……速いですね」

 小林は正美
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