暁 〜小説投稿サイト〜
天才少女と元プロのおじさん
三回戦前
17話 フォーム変えちゃおうか
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 影森高校との試合後、学校に戻った新越谷高校野球部の面々はビデオ室にて梁幽館高校 対 埼玉宗陣高校の中継を見ていた。

 ゲームセットと共に、次の対戦相手は梁幽館高校と決まった。白球は一同気合いを入れ直し、室内練習場に移動する。

 室内練習場は広さなどの都合上、大した練習が出来ない為、白菊を除いたメンバーは素振りを行っていた。そんな白菊はというと、ピッチングマシンを運んで仕切りのネットを張り、打撃練習のエリアを作っている。

「菫さん。マシンバントの自主練、付き合ってくださいませんか?」

 白菊はバントの練習相手に菫を指名する。2番打者である菫は、試合でのバント数がチーム内で一番多い。

「良いわよ。珍しいわね」

 菫の言う通り、白菊は体験入部の時から長打力を見せていた為、チームからは大きな当たりを求められており、今までバント練習をしてこなかった。故に白菊がバントする姿は初心者そのもの。手でボールを追うので、顔とバットの距離が開いてしまう。

「硬いわよ。もっと膝を使って!」

 当然、菫から注意が飛ぶ。しかしながら、どうも動きがぎこちない。

「正美。ちょっと見本見せてあげて!」

 どうにも上手くいかない白菊を見て、菫は仕切りネットの向こうで素振りをしていた正美を呼んだ。試合で正美がバントする機会は未だ訪れていないが、彼女のバントの腕も菫に劣らない。

「りょうかーい。1球白菊ちゃんのバント見せてよ」

 正美は白菊のフォームをチェックする。スタンスはオープン、体の正面をピッチャー側に向けていた。どうも、体が上手くホームベース側に出ていかない様子である。

「オープンスタンスは難しいから、いっそフォーム変えちゃおうか」

 正美はネットを抜け、白菊と交代した。正美はバントの構えをとる際、右足を背側に引く。マシンから放たれてきたボールはその勢いをバットに奪われ、ゆっくりと転がっていった。

「足は後ろに引くと体を前に出しやすいし、アウトコースも顔とバットが離れにくくなるよ。……重心は軸足に乗せる。……バットはボールと両方見える位置をキープして。??????慣れてきたら右手だけで練習すると球威を殺す感覚が掴みやすいよ」

 バントする様子を実際に見せながら、一つ一つポイントを白菊に教えていく。

「それじゃあ白菊ちゃんもやってみよっか」
「はい。??????お願いします!」

 正美は打席を白菊に譲り実践を促すと、白菊はバントの構えを取り、彼女の合図を受けた菫がマシンにボールを投入した。

 迫り来るボールをバットで迎え入れる白菊は、決してバットから顔を離さない。剣道をやってただけあり度胸は満点である。

「うんうん、その調子。それじゃあ菫ちゃん、あとはお願いねー」


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