暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第78話:クリスの居場所
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 颯人が奏を宥めている頃、翼は学院内で不穏な視線を感じていた。視線自体には慣れている。何しろ彼女はトップアーティストだ。しかも今日は一般人も多く学院内に足を踏み入れる学際の日。普段滅多に近くで見ることの出来ない翼の、それも学生服姿を物珍しそうに見る者も少なくはなかった。

 だが、先程から時折感じる視線はそれとは明らかに違う。身の危険を感じる視線だ。

 もしや敵の手の者が近くに来ているのか? と翼が周囲を警戒しながら階段を降りると、出し抜けに目の前に人が降ってきた。

「なっ!?」

 すわっ! 敵が奇襲を仕掛けてきたのかと身構える翼だったが、よく見るとそれはクリスを横抱きに抱えた透である事に気付いた。
 見知った相手である事に安堵すると同時に、何故クリスを横抱きに抱えて上から降って来たのかと翼は疑問を抱かずにはいられなかった。

「何だ、雪音に北上か。驚かさないでよ。それで? 北上は何で雪音を抱えて上から?」

 翼がそう問い掛けると、クリスは焦って半ば怒鳴るように答えた。

「追われてるんだよ!? さっきから連中の包囲網が少しずつ狭められて……」
「雪音も気付いていたか? 先刻より、こちらを監視している様な視線を、私も感じていたところだ」

 クリスの返答に翼が真剣な顔で返すが、透はそれに苦笑を浮かべるとクリスをその場に降ろしメモ用紙にペンを走らせた。
 数秒ほどで何かを書き終え、透は翼にメモ用紙に書いた文字を見せた。

〔そんなに危ないものでは無いですよ〕
「何? では一体どう言う――」

 透の言葉の意味を問おうとした翼だったが、それより早くに何かに気付いたクリスが透の袖を引っ張った。

「やばい、奴らが来たッ!?」
「む――――!?」

 クリスの言葉に咄嗟に身構える翼。その彼女達の前に、3人の女子生徒が息を切らせて走ってきた。

「見つけた! 雪音さんッ!」
「な、何だ?」

 女子生徒達の様子に翼が困惑していると、3人はクリスを取り囲み彼女に向けて手を合わせた。

「お願いッ! 登壇まで時間が無いのッ!」
「一体どうしたんだ?」

 事情が分からない翼がクリスと透、そして女子生徒達を交互に見ていると、透がメモ用紙にペンを走らせた。

〔なんでも勝ち抜きステージを予定していた子が急に出られなくなったらしいんです。で、クリスに代わりを頼みたいと〕
「なるほど……だが雪音はそれを恥ずかしがって、逃げていたから穏やかではない事を口にしていた……と」

 事情を察した翼の言葉を、透が頷いて肯定する。

 その間にも3人はクリスに懇願していた。

「お願い雪音さんッ!」
「だからって、なんであたしがッ!? あたしは――あ、いや……」
「だって雪音さん、凄く
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ