episode15『逢魔シン』
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ミをお願い」
「……し、ン?」
鬼は、苦痛と困惑で混乱した様子の智代の隣にゆっくりと気を失ったヒナミを寝かせる。乱れた前髪を優しく、傷付けないよう梳いて、僅かに身じろぎをしたヒナミに安心したのか、怪物は僅かに微笑んだ。
「――ありがとう、ヒナミ」
寒いな、なんて思ったのはいつ以来だろう。
痛い、なんて感じたのはいつ以来だろう。
苦しいな、なんて最後に思ったのは、いつの頃だっただろう。
全身が痛くて、冬空の風に体が縮こまりそうだった。けれどそれが、逢魔シンがちゃんと“生きている”ことを思い出させてくれた。
これで、ちゃんと痛がれる。
ちゃんと、傷つける。
だから、その為にも。
「今度は僕が皆を――君を、守ってくるよ」
鬼は……いや。
人間は、製鉄師は
――逢魔シンは。
そう言って、笑った。
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