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ユア・ブラッド・マイン―鬼と煉獄のカタストロフ―
episode15『逢魔シン』
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―あなたは、シンを護ってくれていたんだね』

「ぅ、ぁ」

 彼の優しさも、彼の歪さも、彼の苦しみも、なにもかもがここから始まっていたのだ。彼を育んだ異常そのものである環境から、彼の精神性をああも徹底的な、病的なまでの“善”にまで確立したのは、この世界なのだ。

 ――自らを罰し続ける煉獄の世界と、シンの代わりに罰を受け続ける(シンの悪意)

 人間の中に在る善性と悪性を、逢魔シンは無意識に、悪性のみの己として切り離し、そちらのシン自身へとすべての罰を押し付けた。

 己の中に眠るすべての“悪”を、自分自身から生れ出た罰への生贄にしたのだ。

 “逢魔シン”を護るために。
 逢魔シンという存在を存続させるために。

 そうするしか、なかったのだ。

「いた、い、よ」

『うん』

「あつい、くるしい、よ」

『うん、そうだよね』

 目の前に居る傷だらけの鬼は、今のシンよりもずっと幼い。彼の悪性は、幼いままにこの煉獄の世界に捧げられた。この泣き叫びたくなるような苦痛に塗れた世界に、彼はずっと、ずぅっと一人閉じ込められ続けた。

 逢魔シンを、逢魔シンという存在を護るために、ずっと。

 ――もう、充分だ。

『貴方がまだ、自分を許せないって言うなら、私が罰してあげる。だから、罪を“ひと”に押し付けるのは、もうやめよう。シン』

「でも、それじゃあ、ぼく(シン)は」

『貴方が一人じゃ罪を抱え切れないっていうなら、私も一緒に背負う。家族だって言ってくれたのはシンでしょう?だったら――家族なら、私にも一緒に背負わせてよ』

 ずっと、罪から逃げ続けた報いを受ける時が来たのだ。
 ずっと、罰を受け続けてきた果てを知る時が来たのだ。

 今度こそ、逢魔シンは、逢魔シンとして裁かれる。

 ――私は、ずっと、隣で支えるから。

『だから、心配しないで』

 悪を自称するいじっぱりな子供に、そう言って笑い掛ける。
 “自分自身を思いやる気持ち”を悪だなんて言って切り捨ててしまった大馬鹿を、ぎゅっと抱きしめて。

『わたしも、シン(あなた)も、皆も、絶対に、笑って未来に行ってみせるから』

 世界が、流れ込んでくる。
 罪が、痛みが、嘆きが、逢魔シンが望んだあらゆる罰が、すべて、全て、総て、何もかもが、ヒナミの中へと。

 どくん、どくん、と、鼓動の音だけが耳に届く。
 視界が明滅する。地獄すら生温い苦しみの歴史が、ほんの数秒間に津波の如く流れ込んで、悲鳴を上げる力すらどこにもない。四肢を捩じ切られて、眼球を抉られて、臓腑を掻き回されて、細胞の一つ一つを丁寧に火で炙られていくかのような絶望そのものの感触。

 10の爪を?がされるような罰を経て、傷口
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