第四章
[8]前話
奈央は無表情のまま飲みつつ友人達に話した。
「これ位は大丈夫」
「そういう問題かな」
「表情に出ないからわからないけれど」
「やっぱり飲み過ぎについては」
「どうかしら」
「大丈夫だから。あと」
奈央は飲みながらこうも言った。
「このファッションは趣味だから」
「茶道に関係ないんだな」
「ただの個人の趣味で」
「それで」
「気にしないでいいから」
こう言うのだった。
「似合っていたらそれでよしだから」
「まあ似合ってるけれどな」
「その黒のゴスロリも」
「小林さんの意外なファッションセンスって感じで」
「そちらからもいいけれど」
「そういうことだから。無口でも無表情でも」
自覚している言葉だった。
「いいかしら」
「まあ別に普通だから」
「それ以外のことは」
「というかその無口な理由もわかったし」
「別にいいかな」
「これといって」
こう言ってだった。
クラスメイト達は奈央と遊び続けた、奈央は歌って踊りつつビールを実際に大ジョッキ三本空けた。だがそれでも全く平気で。
「酒豪なのはな」
「また特徴よね」
「そうだよな」
奈央のそれだと話した、そしてだった。
奈央はクラスメイト達とこの時もそれからも一緒に遊び続けた、やはり無口で無表情だが普通にコミュニケーションは出来た、それは部活も同じで。
「無口だけれどね」
「ちゃんと教えてくれて一緒にお茶煎れてくれるし」
「ならいい?」
「そうよね」
後輩達も奈央を受け入れた、何時しか奈央の無口と無表情は誰からも受け入れられていった。それが彼女の個性で別に悪いのではないとわかって。
茶道は無口 完
2021・1・17
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