第109話 難楼 後編
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達をお前の元に身を寄せれば、私の援助は捨扶持となる。それは公平でない。私の援助する大元は民が汗水を流して、納めたものだ。援助するならば、彼女達の自立を促し、受けた援助を少しずつでも返していくのが筋だと思う。そのことは考えているのだろうな」
私は瑛千の考えについて詰問しました。
「分かっております。ですが、彼女達を放逐しては彼らは外敵から守る者達がございません。女だけの村など襲ってくれと言わんばかりです。まず、私の元に保護し、その上で正宗様のお知恵をお借りして、彼女達が身の立つようになさる方がきっと将来のために善い結果を生むと考えます」
瑛千の言葉は正しいです。
私と冥琳は厄介払いをすることばかりに気を取られました。
「お前の案では援助の額が莫大になるではないか? そうなれば、彼女達が返すことなど叶わぬぞ」
冥琳は瑛千の案に不満を言いました。
援助の額がかなり割高になるのは否めません。
「彼女達の代で返すつもりなどありません。彼女達の子、孫の代で返せばよいかと存じます。それでも返せぬなら、その先の代で返せばよいと存じます」
「くっ、それは空証文も同じではないか!」
冥琳は厳しい表情で瑛千を睨みつけました。
「冥琳様、空証文となるかわかりません。彼女達を放逐し野垂れ死にして烏桓族の心証を害すよりましと存じます。冥琳様は彼女達が正宗様の側にいることで正宗様が女色に耽る愚人であると風聞が立つことを危惧なされているのでしょう。それはこの私が預かることで解決すると思います。正宗様は漢人、烏桓族など関係ないと仰りました。同じ土地に住まうなら、民に変わりない。正宗様のご英断が必ず、将来の漢人と烏桓族の間の垣根を無くす礎になると思います。この私に司馬の官位を下さった時のお言葉は偽りであったのですか」
瑛千は真剣な表情で私を見つめました。
「そうだな。お前の言う通りだ。私の望む将来を実現するならば、彼女達を見捨てるのは愚かなことだ」
「正宗様!」
冥琳の言葉は無視し、瑛千に頷きました。
「瑛千、お前の望むようにしろ。お前の役宅では全ての者の面倒を見るのは大変だろう。後でそのことも含め相談しよう」
私は瑛千に優しい表情で応えました。
「正宗様、ありがとうございます」
「冥琳、そんなに怒るな。費用は私の所領から幾ばくか捻出するので心配するな」
私は冥琳に金の心配をするなと言うように彼女の顔を見ました。
「私費で庇護されると仰るのですか?」
「ああ、馬鹿なことかもしれないが、私にはこうするのが性に合っている。難楼、これで良いか?」
私は冥琳に呟くように言うと、難楼の方を向き言いました。
「劉将軍、ありがとうございます!」
難楼は顔を上げ
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