第109話 難楼 後編
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彼女達が身の立つようにある程度の援助はしてあげようと考えています。
「その上でお前に問いたい。難楼、お前は私を殺すつもりでいるか?」
ここまで話して「私を殺す」など言わないでしょう。
自分だけが人身御供になることで他の者達が救われるのです。
ですが、彼女の返答内容で彼女を信頼するか否かを決めるつもりです。
だからこそ、私だけでなく冥琳達を同席させました。
どうせまともな真意など確認することなど望める訳がありません。
ならば、信用できるか否かだけでも感じ取れればいいです。
彼女の態度で彼女への対応を考えます。
彼女がどのような者であれ、上谷郡の烏桓族達への待遇に影響がでないよう配慮するつもりです。
「私が劉将軍に刃を向けるなど滅相もございません。あなた様の我らへのご厚情感謝いたします。難楼は謹んで劉将軍の側室のお話をお受けいたします」
難楼は躊躇することなく、私に平伏して感謝の意を述べました。
彼女の腹づもりはよく分かりました。
風の見立て通りだったようです。
まあ、本心はいろいろと葛藤しているでしょうが、私への叛意は今のところないと見ていいでしょう。
「お前の本心は良く分かった」
私は冥琳達に視線を移すと彼女達は首を軽く縦に振りました。
彼女達も私と同じ考えのようです。
「劉将軍にお願いがございます」
難楼は平伏したまま私に願いがあると言ってきました。
「願いとは何だ?」
「今度、劉将軍に献上した女は既に戻る家は捨てる決意でおります。どうか劉将軍の元で庇護してくださいますようよろしくお願いいたします。それが叶わぬと仰るのならば、彼女達に戻れと申されるなら、彼女達の命をお取りください」
難楼は頭を地に擦り付け、私に衝撃的なことを言ってきました。
私の中にある予感が去来しました。
あの女性達は兵士でないでしょうか?
私の近辺に近づき、折を見て反乱をするつもりでは?
この世界では男より女の方が有能な人材を排出しています。
疑念に捕われた私は冥琳達を見ると、冥琳が口を開きました。
「難楼、献上された女達の存念など我らには関係ない。死を望むというなら、勝手に死ねばいい」
冥琳は難楼に高圧的な物言いをしました。
献上された女性達にそんな真似をされたら、凄く困るのは私です。
どんな風聞が立つかわかりません。
折角築きかけた烏桓族との関係にヒビが入ります。
難楼とて彼女達を殺すことは本意でないでしょうが、彼女達が決死隊ならば話が変わってきます。
ただ、朝廷の重臣である私を殺せば彼らは間違い無く皆殺しになるでしょう。
確かに私を亡き者にすれば、幽州での官吏の動きは足並み
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