第109話 難楼 後編
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す。あなた様の願いが叶い、烏桓族が幽州の民となる日が来るとよろしいですね。ですが、その願いがどれだけ大変なことか心して置いてください。途中に投げ出すことが無きように」
冥琳は私を厳しい表情で見ました。
その表情は私に中途半端なことは許さないと想いが感じ取れました。
「ああ、投げ出すことはない」
私は自分の意思を再確認するように言いました。
「ならば、もう私が言うことは何もありません。正宗様、懸案の難楼を呼びましょう」
冥琳は気分切り替えるように衛兵に声を掛け、難楼をここに連れて来るように命令しました。
私は瑛千((無臣))をこの面談に同席させようと思いました。
「冥琳、その場には瑛千((無臣))も同席させてくれ。1人くらい同胞がいた方が気持ちも落ち着くだろう」
私達だけより同胞がいた方がいいでしょう。
ただ、瑛千が上谷郡の烏桓族の討伐に成果を上げたこともあり、逆効果かもしれません。
そもそも、難楼の立場で胸襟を開き、私と話をするなど無理でしょう。
彼女は過去、大人であっても、今はただの奴隷でしかありません。
私が対等に会話を行おうと思っても、それは結局は強者の押しつけにしかないです。
しないよりましでしょう。
「瑛千は討伐軍の急先鋒ですので恨みこそあれ、共感はないのではありませんか?」
冥琳は憂慮するような表情をしました。
「それでも私達漢人のみに囲まれるより気が楽だろう?」
私は冥琳に瑛千を難楼との面談に同席させるように促しました。
「畏まりました。瑛千をこの場に呼びます」
「頼む」
冥琳は陣幕を後にしました。
あれから四半時もしないうちに難楼は衛兵に囲まれ、手足を鎖に繋がれて連れてこられました。
この場には真新しい将校の軍装に身を包んだ瑛千も同席しています。
他には冥琳、稟、風の3人がいます。
瑛千は難楼の鎖に繋がれた姿を見ても文句をいうことはありませんでした。
難楼が賊将であるという自覚はちゃんと持ってくれているでしょう。
内心はわかりませんけど。
「難楼、お前と会うのは初めてだな。私がお前達を討伐した軍の総大将、劉正礼である」
私は厳粛な態度で彼女に相対しました。
「今度の劉将軍のご寛大な裁き、助命いただいた上谷郡の烏桓族に代わり感謝いたします」
難楼は鎖で動きづらいにも関わらず頭を深々と下げ、私に感謝の言葉を言いました。
「拘束の鎖を解いてやれ」
私は控えている衛兵に命令しました。
「よろしいのですか?」
冥琳が私に困惑した表情で言いました。
「構わない。難楼もここで問題を起こす気などないだろう。そんなこ
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