第二章
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これまで通り家の事業と屋敷での中のことをその真紀と共にしていった、それは美沙なりに励んでいたが。
夫が三日程出張となった時に真紀は美沙に優しく言った。
「今夜は主人もいないから」
「はい、そうですね」
「私達は二人で寝ましょう」
こう言うのだった。
「一人でいるよりも寂しくないから」
「一人でいても」
「遠慮は無用よ」
真紀は美沙に笑って言った。
「そのことはね」
「そうですか」
「ええ、だからね」
「今夜はですか」
「主人は明日帰って来るから」
それでというのだ。
「今夜は私のお部屋でね」
「二人で、ですか」
「寝ましょう」
「わかりました」
美沙は頷いた、そうしてだった。
この日は昼は働き夜もやるべきことをやり風呂に入った後で着物を着た。古風な中村家では家の女は着物だと決まっていた。それで美沙は寝間着の着物を着てだった。
真紀と彼女の夫の部屋に入った、真紀の部屋は和風の屋敷に相応しく和風のもので畳の部屋だった、本棚と書斎の席、座布団のそれがあり。
ベッドはなかった、これは美沙と夫の部屋も同じだ。美沙は既に入浴を済ませ寝間着の着物に着替えていて自分の部屋に入った真紀に微笑んで言った。
「では今からお布団を敷いて」
「そうしてですね」
「寝ましょう」
「わかりました」
「明日も早いから」
「今からですね」
「寝ましょう」
優しい声であった、いつも通り。
「いいわね」
「はい、それでは」
美沙も頷いてだった、そうして。
真紀が敷いた布団の横に自分の横を敷いた、それから義父母にお休みなさいの挨拶をした、叔父夫婦は娘達と共に離れに住んでいたのでそれはなかった。離れといっても見事な洋館であった。
二人はあらためて真紀の部屋に入った、美沙は自分の布団に入るとそこで寝るつもりであった。だが。
灯りを消して少し経ったところで真紀が自分の布団の中に入ったことがわかった、それで美沙は驚いて義姉に問うた。
「義姉さん、一体」
「一体って決まっているわ」
いつもとは違った妖しい口調であった。
「夜に同じお部屋の中で二人きりなのよ」
「まさか」
「そうよ。だからお義父さんも貴女のご主人とね」
「義姉さんをですか」
「そう言ったのよ、村山家の家訓で家の者は伴侶以外の異性に手を触れることも出来ないけれど」
「同性ならですか」
「いいのよ」
そうだというのだ。
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