第二章
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「ではまた」
「はい、またですね」
「旅に出ますか」
「いいですね」
曾良は芭蕉に微笑んで応えた。
「それでは何処を旅するか」
「今お話して」
そしてというのだ。
「そのうえで」
「決めますか」
「そしてです」
さらにというのだ。
「俳句を詠いながら」
「共に」
「離れずにいましょう」
二人で親しく話してだった。
芭蕉と曾良は顔を寄せ合って何処に行くかを細かく話した、それこそ朝から晩まで。
そして旅の支度もする時もだった。芭蕉は曾良の目を見て彼に問うた。
「何を持っていくべきか」
「それも考えてしまいますね」
「はい、そしてです」
それにというのだ。
「着ていく服も」
「そちらもお話していきましょう」
「それにです」
さらにというのだ。
「銭も必要ですし」
「どれだけ持って行くべきでしょうか」
「考えてしましますね」
「そうですね、ではさらにです」
「お話していきましょう」
こう話して実際にだった。
芭蕉と曾良はさらに話していった、諸藩それも幕府から目を付けられていることを自覚している藩の者達はそんな彼等を見てさらに警戒した。
「近頃常に何かと話しているが」
「今度は何処に行くつもりか」
「どの藩を探るつもりか」
「我が藩も用心が必要か」
「まずいものは隠しておかねばな」
「見られてはかなわぬ」
「お取り潰しにでもされれば厄介だ」
脛に傷持つ藩の者達は尚更警戒した、そしてだった。
彼等は芭蕉から密かにであるが目が離せなかった、そんな彼等をよそに芭蕉はまた曾良とだった。
旅に出た、その彼等の出発を見て諸藩の者達はまた言った。
「また出たぞ」
「今度は何処に行く」
「旅が多過ぎるな」
「しかもまた河合曾良と一緒だ」
「二人で諸藩を巡るか」
「そしてその内実を探るか」
「全く以て嫌な連中だ」
「厄介な者達だ」
「あの松尾芭蕉、油断ならぬ」
「やはり忍の者か」
「そうではないのか」
こうしたことを話してだった。
諸藩の武士達は二人の旅を注視した。しかし。
当の芭蕉は旅路で曾良に笑顔で言った。
「いや、こうしてです」
「二人で、ですね」
曾良も笑顔で応えた。
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