最終章:無限の可能性
第292話「英雄達の帰還」
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……?」
いまいちピンと来ないのか、聡と玲菜は首を傾げる。
尤も、厳密な説明の方が複雑なため、こういった簡潔な説明しか出来ないのだが。
「優輝の代わりとでも思っておけばいいわ。実際、同一人物みたいなものだし」
「どういう、事なんだ?優輝は……どうなったんだ?」
「話せば長くなるから、簡単に言うわ」
決着が着いた時点で優輝はとっくに限界を迎えていた事。
それによる完全な消滅を避けるために、転生という手段を取った事。
そして、転生した時点で“志導優輝”は死んだという事。
それらを簡潔に説明した。
「例え姿形がどれだけ似ていても、それは“志導優輝”ではないわ。記憶を持っていたとしても、生まれ変わったのだからそれは別人だわ」
「……それは、飽くまで事実としての問題だよね?」
「まぁね。これは変わりようのない事実よ。もしかすると、記憶すら引き継いでいない可能性もあるわ」
「………」
噛み砕いた説明故に、聡と玲菜も理解できた。
そのために、何も言えずに司と優奈の会話を聞いているしかなかった。
「大丈夫だよ。優輝君が優輝君だと自覚して、私達が優輝君だと認識出来るのなら、何も問題はないよ。だって、そこに在るだけの事実なんて、人の認識次第で簡単に無視できるモノなんだから」
「……っ、そうね」
司の言葉に、優奈は微笑む。
その通りだ。例え“事実”として“志導優輝”でなくとも、本人が、そして周りが“志導優輝”だと認識すれば、それは真実となる。
「意地悪な言い方したけど、いつかは帰ってくるわ。それは確実。私達がそういう“結末”へと“可能性”を導いたから」
「そう、なのか……」
“帰ってくる”。それだけは確実と知り、聡は安堵する。
「でも、結局貴女は……?」
同じく安堵していた玲菜だが、優奈についての説明がなかったと思い、尋ねる。
「っと、説明していなかったわね。結構複雑な事だから……そうね、パラレルワールドは知っているかしら?」
「一応は。“もしも”の世界だとか、そんな感じの……」
「その認識が一番わかりやすいわね。例えば、貴方達がもっと早い段階で付き合う世界もあるだろうし、その逆もある。……極端に言えば、性別が逆転した世界もあるでしょうね」
「性別が……って、まさか」
そこまで言って、玲菜は気づく。
「そう。私は優輝が女性として生まれた場合の“可能性”。“もしも”の存在が形になった者よ。だから、代理的存在なの」
「そういう事か……」
平行世界を例えに出した事で、聡と玲菜にも簡単に伝わった。
漠然とだが理解し、二人の疑問はこれで解消された。
「基本的に私は優輝と同じよ。性別が違う
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