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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
8.104訓練分隊W
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なら、囲まれた状況で作戦時間が終わったからと言って助かる道理はない。その意味では巧が発見され、突貫を開始した時点で失格ともいえる。
「故に、合否は演習全体の内容によって判断されることになった。まず初日に敵部隊を陽動し大打撃を与えたのは見事だった。しかしその後、敵の動きを読み切れず、また偵察・索敵が中途半端だったために拠点を失ったのは減点だ。包囲してくるのは予想できたはず。ならば敵がどう攻めてくるか、それを防ぐために注意するべきことは何か。それを読み違えた分隊長の責任は重い。それに罠の解除をやられたのは気を抜いていた証拠だ。」
反論はできない。実際その通りで、自陣近くの罠を解除されたということは敵が見張りの目をかいくぐっていたということだ。
「そして、その後は見るに堪えんな。遠田の指揮のもと、敵の追撃を回避するために四人犠牲にし、結局最後は遠田だけが残った。遠田の指揮官としての技量は及第点には及ばないだろう。そして最後の結果は先ほど言った通り、実戦では負けに等しい。さて田上、それを受けて今回の合否をお前ならどう判断する?」
「っ……!失格…だと考えます。」
「ほう、なるほどな。貴様らも同じ考えか?」
どの隊員も言葉を発することはできない。教官の言葉は確かにその通りで、どう考えても自分達は失格だと思える。
「全く…最近の若い奴らはどいつもこいつも…。田上、この演習の目的はなんだ?」
「はっ、最後まで生き残ることです。」
「違う。それは演習の課題であって演習の目的ではない。総戦技演習の目的。それは貴様らに軍人としての最低限の素養があるかどうかを確かめると共に、衛士として必要な判断能力や連携力があるかどうか、隊の意思を統一し任務にあたれるかどうかの判断をすることだ。その点で今回の演習を見ると…まあぎりぎり合格といったところだろう。」
「ごっ、合格!?」
「俺たちが…」
「衛士になれるのか?」
「調子に乗るな!ギリギリと言ったはずだ!今回の判断は温情も入っている。今回の演習は遠田という優れた訓練生が編入されたことで難易度が高いものとなっている。そして今回の演習に失格すれば貴様らは衛士になることを諦めなければならない。だからこその合格だ。その点を差し引いて判断すれば失格の可能性すらある。精進することだ!」
「「「はい!」」」
「よし。まあとにかく一週間ご苦労だった。特に遠田は療養が必要だろう。二日の休暇を許可する。今後は戦術機の教練に入る。気合を入れるように。解散!」
104訓練分隊、総戦技演習合格。それは正式に衛士としての訓練を積むことを意味する。つまり戦術機衛士という長い道のりの入口に立つ権利を得ただけという意味だ。しかしこれは大きな一歩である。
今の時点では誰も予想しえないことだが、ここで巧が合格したことは世界の運命にすら
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