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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
8.104訓練分隊W
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自分達は良い。実力が足りなかったというだけのこと。だが巧がそれを気に掛けないように励ましてやらねばならない。半年間、巧と共に訓練を受けた記憶に思いを馳せながら決意する田上であった。
◆
巧が目を覚ますと、そこはテントの中だった。全身に痛みが走り、体を動かすことも億劫だ。演習はどうなったのか。自分が倒れているということはダメだったのか。巧は思考の重い頭を精一杯働かせて思い返した。
『嘗めるな!糞餓鬼があぁ!!!』
そういった敵の指揮官らしき男に戦いを仕掛けたのは覚えている。切結んで数合、周りの歩兵たちの攻撃を何とかしのぎつつ戦っていたが、やはり多勢に無勢。完全に囲まれる前に巧が剣を投げつける。最後の武装と言える剣を投げつけるという暴挙に慌てた石橋は、しかしそれを何とか防いだ。
それは巧の最後の賭けだった。巧は剣を投げつけると同時に石橋にタックルを仕掛け押し倒し、その勢いで強烈な肘打ちを顔面に見舞った。その後はもう語るまでもない。装備を全て失った巧は丸腰のまま脇目も振らず逃走するも包囲は完成され逃げ道はない。
大勢で囲っておきながら指揮官をやられ半分狂乱状態になった歩兵たちは統率もなく素手の巧に襲い掛かった。
演習であるため、通常なら致命傷と言えるだけの一撃を入れられればそれで終わりだが、巧も歩兵たちも極度の興奮状態だったために抑えが聞かず、結局巧がボロボロになって気を失うまで戦いは続いたのだ。
それを思い出し、巧は気が重くなった。指揮を任されてから六人を犠牲にしても生き残れなかったのだ。気落ちしているところに教官がやってきた。
「起きたか。じゃあ集合場所まで来い。結果を伝える。」
◆
巧がやってきて104訓練分隊が揃う。巧の無事を喜ぶのもそこそこに整列させられ、教官からの結果発表が始まった。
「これで104訓練分隊の総戦技演習を終了する。まずは一週間ご苦労だったと言っておこう。そして結果だが、これは判断に難しいものとなった。」
訓練兵たちがざわつく。判断が難しいとはどういうことか?
「静かにしろ!いいか?今回の任務は『生き残る』という単純なものだ。結果としてそれは達成された。終了時間になったとき、遠田はまだ生き残っており歩兵部隊相手に大太刀周りしていた。だからそこだけで判断するなら合格だ。」
そう、終了時間と巧が石橋を倒した時間は同じだったのである。その後すぐ巧は脱落するが、時系列的に言って合格と言っていい。
「だがその後一分程度で遠田はやられている。そもそも終了時間まで持ちこたえたと言っても周囲は敵に囲まれ、絶体絶命の状況だったんだ。その時点で失格になったとも考えられる。実戦では誤差数分程度はあって当然。俺の時計が数秒遅れていたら失格だったなんて、成功とはいえまい。」
もしこれが実戦であった
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