第二章
[8]前話
「そうするんだな」
「それで俺達が欲しいものもな」
「それもか」
「持って来てくれるんだ」
「そうなんだな」
「ただそうしたものを持って来てくれるのはな」
このことについて父はさらに詳しく話した。
「ふわりはそういうことに気付く頭のよさがあってな」
「本当に頭いいからな」
「トイプードルは元々頭がいいがな」
犬の中でもかなりの方と言われている。
「その中でもふわりはな」
「特に頭がいいんだな」
「それで性格もな」
今度はそちらの話をした。
「トイプードルは元々そちらもいいがな」
「ふわりはそっちもその中でもかなりだな」
「いいからな、気付いてくれて優しいからだ」
「持って来てくれるんだな」
「大きなものを運ぶのは無理でも」
このことは身体が小さいからどうしても無理だ、それで大きなものを咥えて持って来ることは出来ないのだ。
「そうしたものはそっちに駆けていってここにあると鳴いて教えてくれるな」
「ああ、大道具何処だとか言ったらな」
「そうしてくれるんだよ」
「頭がよくて性格もいいからか」
「習性に加えてな」
「ふわりがそんな子でか」
「そうだ、兎に角ものを咥えて持って来るのも習性だ」
トイプードルのというのだ。
「そういうことだ」
「そうなんだな」
「そのことも覚えておけよ」
「よくな」
「わかったよ、しかしこんなことも知らないでふわりのことも知らないで捨てるなんてな」
洋介は再びふわりの前の飼い主達今はその所業の結果誰からも嫌われている彼等のことを再び話した。
「人間として最低だし見る目もないな」
「ゴミに宝石のことがわかるか」
父は素っ気なく息子に告げて返した。
「どうだ」
「わかる筈ないな」
「そんなことだ、それで二人目妊娠したそうだがな」
「親戚誰もお祝いに行かないな」
「ああ、皆絶縁したからな」
それも口頭ではなく書類で公にだ。
「誰もな」
「そうだよな」
「ああ、だからな」
「お祝いはしないな」
「ただ近々な」
「近々?」
「あの連中に引導を渡す」
父は断言した。
「そうなる」
「引導って何だよ」
「そのうちわかるさ」
父は息子に今は答えなかった、そうして焼酎をまた飲んだ。
洋介はそんな父を見てどういうことだと思った、しかし今はケージの中で遊び続けるふわりを見て笑顔になった。父が言ったことはふわりの前の飼い主達に二人目が出来て暫くしてからわかって頷いた。
ものを取ってくれるのは 完
2021・4・28
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