四十七 囚われ
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を細めて見遣った。
「トロイの木馬は上手くやっているかな?」
ぺっ、と吐き出した唾。
血が雑じったソレを踏み躙りながら、再不斬は自分を殴った相手を、へっと嗤う。
「木ノ葉の恩人に対して、ひでぇ仕打ちだな、おい」
木ノ葉隠れ暗部の拷問・尋問部隊隊長。再不斬以上の強面である森乃イビキは、殴った己の拳を軽く振った。
「恩人だからこそ、この程度で済んでいるのだ。そこが判らぬ鬼人ではあるまい?」
イビキの言葉に、再不斬はふん、と鼻で嗤う。
確かに拷問と尋問のエキスパートである男ならば、遥かに容赦のない拷問術で追い詰めるだろう。
カカシに拘束され、木ノ葉の里に連行された再不斬は今や、牢に閉じ込められ、拘束具で動きを封じられていた。
身動きできぬ我が身を見下ろして、鬼人は軽く肩を竦める。
「それじゃ、優しい優しい拷問部隊隊長様は水くらい飲ませてくれるんだろーなァ?」
わざとらしい言い草で嗤う再不斬に、イビキの額にピキリと青筋が立てられる。
それでも忍耐強く怒りを抑え、部下に水を持ってこさせようとしたイビキだが、「あー違う違う」とすぐさま再不斬に遮られて、再度、青筋を立てた。
「なんだ!?」
「水なら持ってるんでな。ソレを飲ませろよ」
再不斬の視線の先を追い駆けたイビキの顔が益々険しくなる。
拘束した際に身体検査は重々したはずなのに、再不斬の腰には水筒のようなモノがちゃぷん、と揺れていた。
「こんな得体の知れないモノなんざ飲ませられるか!」
まだ隠し持っていたのか、と憤慨しながらイビキは水筒を引っ手繰る。
中身が毒であれば、自害してしまう可能性もある。そうなれば、元も子もない。
囚われの身でありながら飄々とした再不斬の態度に苛立ちながら、イビキは水筒を外へ放り出した。
鬱蒼と生い茂る叢。其処へ水筒の中身が撒き散らされる。
水筒の中の液体が茂みへ降り注がれる様子を、再不斬は「あ〜あ」と横目で眺めた。
しかしながらその口振りは、ちっとも残念そうではなかった。
(知れねぇぞ、どうなっても)
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