四十七 囚われ
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死を乗り越え、成長してもらう。
その為には…──。
「じゃあ──おやすみ」
「ま、まて…っ」
目の前の得体の知れない存在とお面の青年にだけ警戒していたアスマは、すぐ傍で飛んでいる蝶には気づかなかった。
急激に襲い来る睡魔。
ガクン、と膝が砕け、倒れ伏したアスマを、お面を被った青年が膝をついて確認する。
すっかり寝入っているアスマの様子を認め、青年はお面を外した。
「…流石、ですね」
眠気を催す鱗粉を散らしてアスマを眠らせた白き蝶が、優雅にフードの人物の人差し指へ寄ってゆくのを、青年は──白は感嘆の吐息と共に見守った。
指先に止まった蝶へ、ふっと息を吹きかける。
本来は百合の花弁であった蝶が白の花びらへ戻ってゆくのを見遣ってから、彼はフードを取り払った。
【黒白翩翩 耀従之術(こくびゃくへんぺん ようしょうのじゅつ)】
その術で生んだ蝶によってアスマを強制的に眠らせた本人の素顔が露わになる。
敬愛する主──ナルトの顔を、白は眩しげに見上げた。
「いや。ただ眠らせただけなのだから、大したことはないよ」
今の会話のやり取りも忘れてもらわないと、と肩を竦めたナルトの困り顔が、四方の鏡に映り込んだ。
まず、再不斬が飛段の鎌に斬りかかったその瞬間から、その場の戦況の流れはナルトによって掌握されていた。
飛段がアスマの血を使って呪いを発動させる前に、【水遁・大瀑布の術】を使う。
あの術は再不斬によって有利なフィールドに置き換えたのだと角都に思われたが、実際は違う。
飛段の足元の血の円陣を消すのが目的だったのだ。
飛段が呪いの準備をするのを邪魔し、時間稼ぎをする。
そして、ナルトが真っ先に飛段とアスマの間に割り込んだのは、飛段の三刃の大鎌を奪うのが目当てだった。
その際、アスマを蹴飛ばしたのも、飛段を助けたわけではない。
視界不良の濃霧へ蹴飛ばすことで霧に紛れて展開していた白の鏡へアスマを捕らえるのが目的だった。
その為に、前以て再不斬に【霧隠れの術】で火ノ国に濃霧を発生させたのである。
更に、霧に潜ませておいたナルトの影分身をアスマに変化させ、本当のアスマと入れ替えさせる。
要するに濃霧は本物のアスマと入れ替わるのを見られない為だ。
次いで、鎌に付着させたアスマの血は、飛段の得物を奪った瞬間に秘かに拭い去っておく。
我愛羅の砂でさえ綺麗に取り去った術だ。【疾風沐雨(しっぷうもくう)】の術の前では血など微塵も残さない。
そして別の血を──白がよく囮用などに使う兎の血を代わりに付着させておいたのだ。
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