四十七 囚われ
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「『暁』を拘束するはずが霧隠れの鬼人を拘束とはね…」
アスマの訃報を耳にし、五代目火影は暫し黙していた。
やがて深く重い嘆息を零すと、手を組む。
綱手に報告を済ませたカカシは、彼女からの言葉を待っていた。
既に、コテツとイズモ、そしてシカマルには席を外してもらっている。
アスマの葬儀を執り行わねばならないし、なにより傷心した彼らをこの場に留めておく理由がなかった。
「…それで?その鬼人はどうした?」
「牢に閉じ込めてあります。イビキがこれから尋問しますが…奴もプロです。そう簡単に口は割らないでしょうね」
「だろうな…」
木ノ葉隠れ暗部の拷問・尋問部隊隊長である森乃イビキを以てしても、木ノ葉に足を踏み入れた目的を鬼人から聞き出すのは骨が折れるだろう。
それだけ桃地再不斬という忍びをカカシは高く評価していた。
なんせ、波の国で散々苦汁を舐めさせられた相手である。
しかし、あの時、確かに再不斬は死んだはずだった。
白という少年と共に。
木ノ葉崩し前に再不斬と対峙したという自来也、そしてうちはイタチと共に来訪した鬼鮫の相手を再不斬が行ったというアスマの証言も正直言って、カカシは実感が湧かなかった。
実際に、この目で見ない限り。
そして今、木ノ葉の里にまで張本人を連行してようやく、カカシは再不斬の生存を認識できた。
再不斬が生きていたという事に困惑はもちろんあるが、どこか安心している自分に気づいて、カカシは苦笑を唇に湛える。
それだけ波の国の出来事はカカシにわだかまりを残していた。
「それにしても。やはりお前の勘は当たっていたな」
再不斬の対処をどうするか頭を悩ませていた綱手がふと、カカシに顔を向ける。
波風ナルの修行をヤマトに任せて、火ノ国に潜入した『暁』を捕らえる任務に、カカシは自ら志願した。
嫌な予感でもするのか、と訊ねた綱手に勘だと答え、アスマ班を追ったカカシは、五代目火影の言葉に頭を振る。
「当たっていませんよ。現に、間に合いませんでしたし…」
カカシの脳裏に、倒れ伏したアスマの姿が過る。
唇を噛み締め、一瞬、目元を伏せたカカシは直後、険しい顔つきで火影を仰ぐ。
「しかし。再不斬によって救われた命もあることは事実です」
「それは…確かに、な」
唇に指を添え、思案顔で綱手は双眸を細める。
カカシが駆け付けたとは言え、再不斬がいなければアスマだけではなく、イズモ・コテツ、そしてシカマルまで命を落としていたのかもしれないのだ。
更に、再不斬はあの『暁』の二人組の片割れと互角に闘り合ったという。
本来ならば抜け忍である以上、霧隠れの里に引き渡すのが定石だが、木ノ葉の忍びの恩人とも言える鬼人を
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