第二話 はざかいの時その十二
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モコのその短い足ともふもふとした毛を見て母にふとこんなことを言った。
「ぬいぐるみみたいよね、モコって」
「小さくて毛ももふもふとしててね」
「そうよね」
「だから人気があるのよ」
「トイプードルはね」
「特にこうした小さいね」
「ティーカップの子は」
「しかも足が短いと」
即ちドワーフタイプならというのだ。
「尚更ね」
「人気が出るのよね」
「そうよ、けれど外見だけじゃないでしょ」
「生きものはね」
「それだけで可愛がるものじゃないのよ」
「性格も見てね」
「そう、大事なのはどんな生きものも」
それこそというのだ。
「心、性格だからね」
「外見よりもそちらを大事にしないと駄目ね」
「命ある存在としてね」
「それが出来ないと生きものは飼ったら駄目ね」
「そうよ、そして命を粗末にしない」
「それは絶対ね」
「そのこと覚えておいてね」
「一生覚えておくわね」
母の今の言葉をとだ、咲も答えた。
「確かに」
「それじゃあね。しかしね」
「しかし?」
「咲もちゃんとわかっていてよかったわ」
「生きもののことが」
「それがわかっていてね」
本当にというのだ。
「よかったわ」
「だって私も生きてるし」
咲は今もモコを見ている、そうして母に話した。
「だからね」
「それでよね」
「そう考えたら」
それならというのだ。
「ペットもね」
「そう、どんな生きものもよ」
「ワンちゃんだけでなくて」
「大事にするのよ、絶対に」
「そうするわね、モコも一生ね」
そのモコを見てまた言った。
「そうするわね」
「いいわね、絶対に」
「そうしていくわ」
「ええ、じゃあまた明日ね」
「一日二回ね」
「お散歩行って来るわね」
「それがいい運動にもなるしね」
咲にとってもというのだ。
「いいわね」
「そうするわね、入学まであとちょっとの間ね」
「愛ちゃんからもお話を聞いてよ」
「ファッションやメイクも勉強して」
「悪い人や物事のことも知って」
「モコの相手もするわね」
「そうしていきなさい」
母は娘に言った、そうしてだった。
自分はモコとおもちゃで遊んだ、モコは咲だけでなく彼女にもよく懐いてそうして尻尾をピコピコと振っていた。
第二話 完
2021・2・8
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