第二話 はざかいの時その八
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「駒よ」
「漫画に出て来る悪役みたいね」
「実際悪役はね」
そうした者はというのだ。
「そんな連中よ」
「自分達はおもちゃか駒なのね」
「それで用済みになったらね」
「切り捨てて終わりね」
「だからこんな人と付き合ったら」
それこそというのだ。
「あんたもそうなるから」
「そうした人と思ったら」
「絶対に信用しないでね」
「付き合わないことね」
「そのワンちゃん見たらわかるでしょ」
「毎日インスタにあげてたのよ」
おもちゃとして遊んでいた時はとだ、咲は話した。
「美味しいご飯あげてクリスマスやお誕生日は家族でお祝いしてね」
「自分達の娘としてよね」
「ええ、ちやほやしてね。お洋服とかリボンもで」
「着せて付けてあげて」
「そうしていたのがね」
「自分達の赤ちゃんが出来たらね」
「その子、女の子だけれど」
咲はその子の性別も話した。
「その娘ばかりインスタに載せて」
「ワンちゃんは出なくなって」
「聞いたらだったのよ」
「保健所行きね」
「朝から晩まで鳴いて五月蠅い、子育て出来ないって」
「ワンちゃんが鳴くには理由があるでしょ」
母は娘に言った。
「そうでしょ」
「ええ、私だってわかってるわ」
犬を飼っているからだ、咲も答えた。
「それはね」
「そうでしょ」
「けれどそうしたのよ」
「保健所に捨てたのね」
「もういらなくなったって堂々と書いてたわ」
インスタグラムにそうしたというのだ。
「このままじゃ自分達も赤ちゃんもノイローゼだって」
「絶対にケージに閉じ込めて無視してお散歩もトリミングもね」
「しなかったのね」
「それじゃあワンちゃんもストレス溜まるわよ」
「無視してそれじゃあね」
「飼い主失格よ」
母は怒って言い捨てた。
「もうね」
「そうよね」
「勿論親としてもね」
「問題外ね」
「ええ、そんな人が咲にどうするか」
それはというと。
「わかるわね」
「ええ、本当にね」
咲も怒った顔で答えた。
「ここまで話してよくわかったわ」
「そのワンちゃんが新しい飼い主の人に引き取られて何よりだけれど」
「そうした人とはね」
「ヤクザ屋さんと同じよ」
それこそというのだ。
「絶対にお付き合いしないことよ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「生きものを粗末にする人とも」
「お付き合いしない」
「いいわね」
「よくわかったわ、モコを捨てるなんて」
そのモコを見て言った。
「想像も出来ないわ」
「そうでしょ」
「モコは家族だから」
「おもちゃじゃないわね」
「そんな筈ないじゃない」
返事は一つしかなかった、そして咲もその返事を出した。
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