第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第10話 『波』VS『水』?:前編
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である。
「よく分かったねぇ、僕が男だって事?」
「ええ、私の波長を操る能力はお師匠やかつての同志の玉兎達からもお墨付きを得ているものでしてね」
「これはお見事だよ……」
鈴仙の主張に、その玉兎も自分の見事な女装術を棚に上げる程に舌を巻くしかなかったのであった。
玉兎は見事に一本取られた状態となってしまったのである。だが、彼は気を取り直してこう切り出してきた。
「でも、実際に僕が男だって確実に確かめておきたいよね? それじゃあ……」
そう言って彼はゴスロリの服のスカート部分をたくし上げ……ようとしてものの見事に鈴仙に阻止された。
「挨拶代わりに『それ』を見せるのは、これから始まる私達の戦いを穢す事になりますよ」
「でも、どこかの大鎌使いは戦闘前に『見せて』いたのに……」
「無縁塚の死神はれっきとした女性です」
「うぐぅ……」
鈴仙に見事に外されてしまって玉兎は呻き声を上げるしかなかったのであった。こうなっては『そっちじゃない』というツッコミはとてもし辛くなってしまったのである。
そんな出鼻を挫かれた玉兎を尻目に見ながら、鈴仙は続けていった。
「戦いの前に出すものはそういう破廉恥なモノではなく、お互いの名前でしょう? もう知っているかも知れませんが、私は鈴仙・優曇華院・イナバですよ」
礼儀正しいんだなと感じながら、その玉兎はその流儀に乗る事にしたのだった。先に名乗られてしまっては、こちらもその礼に倣わねばいけないというものだ。
「僕は『リュウセン』だよ。鈴仙さん、律儀なんだね?」
そう玉兎──リュウセンに言われながら、鈴仙はその言葉を噛み締めながら台詞を紡いでいく。
「うーん、それは私自身の性分と、曲がりなりにも依姫様の所で訓練を積んだのが影響しているかも知れませんね」
鈴仙は複雑な心持ちとなりながらそう言ったのであった。
「それはさておき、始めましょうか?」
「うん、そうだね」
◇ ◇ ◇
こうして水と空気の豊かな塔の中での戦いが始まったのである。
まず、先手を取るべく動きを見せたのは鈴仙であった。
彼女がそう想い至ったのは、自分は勇美とは違うと考えての事である。
確かに勇美は後手に周り相手の出方に応じた対応をする戦法を得意としているが、それはあくまで勇美の戦い方なのである。
そして、この場に勇美がいない以上、鈴仙はここは自分らしく戦おうと考えたのだった。
その思いを胸に鈴仙は懐からルナティックガンを取り出し、迷う事なく引き金を引いたのだ。
銃口から発射されたエネルギーの弾丸がリュウセンへと襲い掛かる。
狙いは寸分違わない。故にこのまま彼を捉えるかと思われた。
だが、リュウセンはそのまったりとした振る舞いを崩す事なく、鈴仙の攻撃に対処したのである。
「う
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