第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第10話 『波』VS『水』?:前編
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郷や、友人となった勇美の人柄のお陰かと彼女はそう感謝の念を覚えたのである。
そのように思うと鈴仙は気分が楽なのであった。そして、今回の任務で程よい緊張を持ちながらも、基本的にリラックスしている自分に気付くのであった。
そうなれば、鈴仙の行き着く結論は一つのようだ。
「勇美さんの請け売りですけど……この任務は『楽しんで』終わらせてしまうのがいいですね♪」
そう弾むような心持ちの中、鈴仙は『ボスキャラ』の待つエリアまで歩を進めて行くのであった。
そして、鈴仙の目に入る情報に変化が見られたのである。
まず、直線であった橋の先は大きな円形の広場が造り出されていたのである。そして、その広場の中心には一人の人影が見受けられるのであった。
そう、この者こそがこの内装が塔から掛け離れた『半月の塔』を制圧している主犯である事は一目瞭然なのだ。
その者に対して、早速鈴仙は声を掛ける。
「あなたがこの塔の制圧のリーダー格ですね?」
その問いに対して、その者は律儀に答えていく。だが、その振る舞いは鈴仙の予想していたものとは些か違ったようだ。
「うん、その通りだよ。僕がこの塔の担当のリーダーだよ」
「うん?」
その台詞回しを聞いて、鈴仙は思わず首を傾げてしまった。
まず、言わずもがな、その一人称であろう。『僕』とは女性が用いる言葉ではないからだ。それは幻想に生きる存在であっても代わりはないのである。
だが、目の前にいる存在は、確かに少女の姿をしているのだ。水色の神に水色のゴシックロリータ──通称『ゴスロリ』の出で立ちは、彼女が少女である事の証明なのである。
それを見ながら鈴仙は思った。格好だけなら、メディスンかどこぞの厄神に似ているなと。
だが、この者からは『毒』だの『厄』だのといった、基本的に害となる力は感じられない事に鈴仙は一先ずは胸を撫で下ろすのであった。
しかし、あくまで『一先ず』である。彼女は自身の波長を読み取る能力で、『ある意味』それよりも難儀な課題が存在する事を知ってしまったのだ。
だが、その事実からいつまでも目を背け続ける訳にもいかないだろう。なので鈴仙は意を決してこういうのだった。
「こんな事、玉兎人生で始めてなんですけどね……」
「何かなぁ?」
鈴仙がそう言うのをその玉兎はまったりとした態度で聞いていた。だが、その対応は適切ではなかった事を彼女……は後悔する事になるのだった。
「見た目ではにわかに信じられないんですけど……波長から察すると……『あなたは男の子』って事になるんですよね?」
その鈴仙の発言は突拍子もなく聞こえるものであった。だが、それが実際は的を得ていたことはこの玉兎の「あっ」という反応から察する事が出来るのであった。
そして、次の『彼』の発言から、それは確定となるの
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