第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第9話 半月の塔 SIDE:R 後編
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作らないと心に決めているのだから。故に鈴仙は立ち向かう以外の選択肢は自分には用意してはいないのであった。
そして、鈴仙には浮遊感が襲って来たのだった。その感覚は永琳が造った高性能の仮想現実で組み上げた『ジェットコースター』に似ていると感じる。
思えば、それに半ば実験体として体感させられたっけと鈴仙はどこか遠い目で思い返すのであった。だが、その事は今は話題の隅に置いておく事にしたのだった。悲しくなるだけだから。
それはそうと、ジェットコースターのそれは怖いながらも数々の安全対策が施された、生きるのに必要な『保証された恐怖を補充』させる代物であり、謂わば温室内でホラー映画を観るようなものだったのである。
だが、今の状況はどうだろうか? 機体の上に乗り生身の肉体を曝け出している、保証されたとは程遠い状態なのであった。一瞬の判断ミスが大惨事へと繋がるだろう。
だが、意外にもここにきて鈴仙は冷静であったのだ。人間はここぞという時に集中力が高まるが、兎といえど妖怪と化して人型へと変貌した鈴仙にも同じような感性が備わっているのかも知れなかった。
故に、彼女は傾斜の中で突き出た石や小島といった障害物に何度出くわそうとも、それを適格に回避していく事が出来たのであった。
そのようにして、鈴仙は無事に水上の旅を終える事が出来たのであった。
彼女を乗せた機体は、徐々にその速度を落とし始め、気付けばとある小島へと停泊をしていったのである。
「どうやら、ここが終着点のようですね……」
そう独りごちながら、鈴仙は漸く一仕事終えたなという達成感をひしひしと感じるのであった。
そして、今いる小島を見渡せば、その自然の産物には些か不釣り合いな機械仕掛けの装置が島の中央に鎮座していたのである。
最早、答えなどは決まっているだろう。鈴仙は早速その装置の目の前まで赴いたのである。
そして、やはり予想通りであったようだ。そこには、先の飛び石のエリアの先にあったようにキーとなるランプが存在したのだから。
鈴仙は先程と同じように自分の波長をそのキーへと向けたのである。すると、同じようにそのランプは点灯をしたのであった。
そして、次の瞬間であった。何やら遠くで地響きにも似た物音が奏でられたのである。それを聞いて鈴仙は確信する。
「これで、あの扉が開いたという事ですね」
これにて第一関門は突破した。そして、その先には何が待ち構えているのかと鈴仙は不安と期待の入り雑じった感情で身を委ねるのであった。
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