第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第9話 半月の塔 SIDE:R 後編
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事などなかったのである。寧ろ自らの鍛練を積んだ彼女にとって、これはビデオゲームよりも手馴れた事であるのだった。
鈴仙は周りが目まぐるしく動く中でも冷静に自分の懐からある物を取り出したのだ。──それは先の月の異変解決の際に大いに役に立った代物、彼女の自慢の銃であるルナティックガンであった。
そして、その銃口をすかさず玉兎の一羽に向かって向けるや否や、間髪入れずに引き金を引いたのである。
すると、エネルギーの弾丸が射出され、見事にその玉兎へと命中したのだった。
「ほぎー」
攻撃を受けた玉兎は、堪らずにそう呻き声を出しながら水の中へと見事にダイブしたのである。まあ、彼女達は泳げるだろうし、問題はないだろう。
そして、鈴仙は残りの一羽の事も忘れてはいなかった。
「次はあなたですよ♪」
すかさず彼女に対しても引き金を引いた。そして命中するエネルギーの弾丸。
「ぴぎゃー」
そして、二羽目も敢えなく墜落して水の中へとドボンしたのであった。
「ちょろいものですね」
やはり鈴仙は鍛練を抜かりなく積んだ身であるようだ。故に他の一介の玉兎など歯牙にも掛けないようであった。
「この調子で行きますか♪」
そう鈴仙は言いながら水上の冒険を続けていったのだった。
◇ ◇ ◇
「あくー」
「ひげー」
「ほびー」
「むきゅー」
「ぎゃふん」
哀れ、次々と鈴仙に落とされて水の中へと数多の玉兎達は沈んでいったのだった。やはり鈴仙と他の玉兎では如何ともし難い実力の差があるようであった。
だが、鈴仙は油断してはいなかった。こういうアクションゲームで一番厄介になるのは、作品にもよるが敵キャラではない事が定番なのだから。
そう鈴仙が想いを馳せていると、タイミングが良いかと思われる位に『それ』は現れたのであった。
「いよいよ来ましたね。こういう局面ではお約束のものが」
そう呟く鈴仙の眼前に現れ始めたのだ。目の前の水路が急に傾斜になっているのが。
それを見ながら鈴仙は気を引き締める。これこそ乗り物エリアの真骨頂であり、醍醐味だと噛み締めながら。
そして、とうとう機体はその傾斜へと踏み込んだのであった。それによりまずはガクンと落下感が鈴仙を襲ったのである。
続いて彼女に飛び込んできたのは当然のように速度の上昇であった。鈴仙はその洗礼に身を打ちひしがれる事となる。
「っ……」
思わず息を飲む鈴仙。訓練を積んだ彼女とて、乗り物を操る経験は少ないのだ。ましてや、それを用いて急な坂を下るという体験など初めてもいい所なのであった。
「けど……」
ここで鈴仙は怯む事はしなかったのだから。こうしている間にも無二の親友たる勇美や、新たなる仲間のヘカーティアが別の場所で戦っているのだから。
そして、彼女はもう逃げ道は
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