第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第8話 半月の塔 SIDE:R 前編
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ような口調で独りごちたのである。どうしてもここで彼女には感謝しておきたいという気持ちがあったからだ。
そして、鈴仙は意を決して飛び石の一つ目へと跳躍して踏み込んだのであった。
それは意外に簡単な感じであった。そして、その勢いのまま二つ目へと自身を移行させる。
「よっと♪」
軽やかな口調と共に、鈴仙も身軽な動きを見せて難なく二つ目の飛び石を迎えたのであった。
こうも鈴仙が軽快にこなしていけた理由。それは、彼女が兎である事も要因していたのである。
元来、兎はすばしっこい生き物なのだから。『うさぎとかめ』の話のように足の早いイメージは幻想のものではないのである。
実際に、肉食獣から襲われた際の、まるで忍者のような身のこなしで敵の攻撃をかわす様子を見た事がある人も中にはいるのではないだろうか。
そのようにして、鈴仙も元来の兎の身体能力を用いて、このバランス感覚の要する飛び石の仕掛けを無事にこなしていったのであった。
そして、彼女は飛び石の先にあった足場の先の壁にある物を発見していたのだった。
それは、壁に嵌め込まれた、ガラス玉のような物体であった。
鈴仙はそれを見るや否や、手で触ってみたのだが、何の反応も無かったのである。だが、すぐに彼女は今どうするべきかすぐに分かったのだった。
「成る程、『これも』ですか?」
そう言って鈴仙は先程飛び石を出現させた時と同じように月の民特有の波長をそのガラス玉へとあてがったのである。
するとどうだろうか? その玉はみるみる内に赤い輝きを携え始め、全体が十分な輝きを放つまでに至ると、『ピンポン』と擬音で形容すべき音がそこから発せられたのであった。
それが意味する所は一つであろう。
「まずは『一つ目』といった所ですか♪」
仕掛けを順調に作動させて行く時の爽快感。今鈴仙は正にその心地よい感覚を味わっているのだった。
だが、世の中そう順風にいかないように出来ているのである。辺りの様子がおかしくなっている事を鈴仙は瞬時に察したのであった。
その原因を鈴仙は冷静に察知する。
「……『足場』が!?」
そう彼女が呟いた通りであった。今までこの場所へと辿り着く事を可能にしてくれた足場、それに異変が起こっていたのだ。
もしかしたら、それはこういうシチュエーションではお決まりの事かも知れなかった。
そう、最早ご察しの通りかも知れないが、今しがた浮上した飛び石がものの見事に沈没を始めていたのであった。
「んっ、まずいって……!」
これには当然鈴仙は慌てたのである。何せ、足場が無くなっては無理に泳いで戻るしかなくなるのだから。
彼女とて女性。いや、男性であってもそうむざむざと身に付けている衣服をずぶ濡れに晒す事など好む由もなかったのである。
「急がないと!」
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