第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第8話 半月の塔 SIDE:R 前編
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つまり、その波はこの半月の塔の中枢で造られているのである。そして、鈴仙の能力でその波の出所を辿っていけば……という訳だ。
「う〜ん、これは私の能力が役に立ってるって事なのかな?」
そう呟きながら、鈴仙は複雑な心境となっていた。
思えば、この力があったから、綿月姉妹の目に留まり戦争の前線に送りこまれそうになり、結果彼女達の元から逃げ出すに至ったのである。つまり、曰く付きの力とも言えるのである。
今までその事を呪ったのは確かにある。だが、今では後悔はしていないのであった。
何故なら、そのお陰で今こうして永遠亭の面々と関係を持つに至っている訳であるし、なにより勇美という掛け替えのない友人を持つ事も出来たからである。
そう鈴仙は思い返すと、胸の内が熱く何かで満たされるような、そんな心地良い感覚を覚えるのだった。
その想いを胸に、彼女は今の自分が出来る任務を確実にこなしていこう……そう思えてくるのである。
そうと決まれば、今はひたすらこの迷路を目的の場所まで進んで行くのみである。もう迷いのなくなった鈴仙は威風堂々とした態度で、先を進むのだった。
鈴仙がそうしている内に、彼女の目の前には頑丈そうな扉が現れたのである。
「これは厄介な代物が現れましたね……」
そう鈴仙が呟く通り、その扉は塔内の他の部分を構成している物とは明らかに様相が違ったのだ。
他の部分はシックなレンガ造りであるのに対して、その扉は無骨なまでの金属製の一品であったのだ。
更には、扉の内部は複雑な機械仕掛けになっていたのである。
それを見て、鈴仙は早速自身の波長を感知する能力にてその内部の検索を試みるのであった。
すると、ある事が分かったのだ。その事を鈴仙は自分に言い聞かせるように呟く。
「この扉を開けるには、他の場所で二つのキーを作動させなくてはならないようですね……」
鈴仙のその推測を裏付けるかのように、扉の傍らには二つのランプが存在している。彼女の読み通り、そのキーを作動させてランプを両方とも点灯させれば扉は開く仕組みのようである。
「それならば、その仕掛けを作動させに行くまでですね」
そう言って鈴仙はこの扉の場から一先ず去る事にしたのだった。
その彼女の行動には迷いは無かったのである。何故なら、この扉の先には彼女の能力で探知した『波の出所』が確かに存在しているからであった。
そうと決まれば後は行動するまでである。鈴仙は扉から離れてキーを作動させるべく動き出したのだ。
◇ ◇ ◇
まずは、一つ目のキーを作動させに行くのである。鈴仙はこの扉の前に来る前にある気になる場所を目にしていたのだ。そこへ彼女は歩を進めて行った。
「ここね……」
そう彼女が呟くその場所には、先には水路があり行き止まりとなっているの
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