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MOONDREAMER:第二章〜
第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第7話 金属対決・別章:後編
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かったのであった。
 勇美がそのように脳内で構想をしている内にも、戦車は走行しながらの砲撃を繰り返していった。
「ちょこまかと動き回りますね。でも、次で当てますよ」
 そう言ってクガネは勇美に指を指すと、今一度戦車に砲撃命令を下す。そして、戦車は走行しながらも的確に狙いを勇美へと合わせるのだった。
「チェックメイト……ですよ♪」
 その掛け声と共に、遂にクガネの操る戦車からの砲撃は行われたのであった。そして轟音と共に射出される銀の砲弾。
 妖力の籠められたそれは、勇美の元へ着弾すると勢いよく爆発を起こしたのであった。そして、爆炎に包まれる勇美。
 勝負あったようね……。そうクガネは勝ち誇るのだった。この動き回る戦車の攻撃に敵は金山彦命の力を合わせられている様子はなかったのだから、今の的確な一撃に対処出来ずに敢えなく沈んだだろう、クガネはそう確信するのだった。
 そして、勇美を包んだ火の手は徐々に止んでいくのだった。クガネは後は、その下でうずくまっている敵の姿を確認するだけであったが……。
「……!?」
 その光景を見て、クガネは驚愕してしまったのだった。自分の想定していたのは倒れた敵である。
 だが、現実は何事もなくピンピンしている勇美であった。そして、彼女の側に存在するものを見てクガネは納得するに至った。
「成る程……それを盾にしたという事ですね……」
 そう呟くクガネの視線の先には、分厚い金属の盾を持った車両が佇んでいたのである。
 そう、これまでも勇美を幾度となく守って来た……。
「その通りですよ。【装甲「シールドパンツァー」】です。目には目を、戦車には戦車をですよ」
 以上が答えであった。勇美はマックスに備わった金山彦命の力を咄嗟に組み直し、金属分解形態から自身を金属で守る形態へと移行させたのであった。
 それを見ながら、クガネは悔しがった様子もなく、寧ろ感心している姿勢すら見せていたのだ。
「金山彦命の金属分解の力に固執せずに状況に合わせて戦法を変える、ですか。さすがですね」
 さすがは依姫の下で育っただけの事はあるかとクガネは思うのだった。柔軟な考えを持つ依姫を見ながら成長していったが故に、このような機転を見せる事が出来るに至ったのだろうと。
 そう思いながら、クガネは改めて勇美への評価を上げるのだった。そして、もうこの人に対して出し惜しみをする必要もないだろうと。
 その思いを胸に、クガネは口を開きこう言った。
「次は本気で行きましょう、お互いにね」
 その言葉を聞いて勇美は狐に摘ままれたような表情となるが、すぐに調子を取り戻してこう返すのであった。
「ええ、お互い悔いのないようにしようね」
 こうして二人は互いの了承を取り合うと、次の勝負に備えるべく距離を取るのだった。
 暫く均衡する二人。
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