第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第6話 金属対決・別章:前編
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呻き声と共に後方へと飛ばされてしまったのだった。
そして、その体をしたたかに床へと倒してしまったのだった。その際に短い和服から覗いた脚が痛々しいながらも生艶かしく投げ出されたのである。
「うう……」
敵の思わぬ策略を受け、肉体、精神共にダメージを負ってしまった勇美は、ただ呻く事しか出来なかった。
「どうですか? 油断してはいけませんよ。ただ私が親切で自分の能力を明かしたと思っていましたか?」
「……」
そうクガネに諭されるように言われて、勇美は無言でその主張に同意する所であったのだった。
そして、勇美はその思いを口にする。
「成る程、クガネさんが自ら能力を明かしたのは、自分の金属を操る技術に自信があったからという訳ですね」
「ご名答です」
その勇美の指摘にクガネも同意する所であったのだ。
その理屈はスポーツで言い表すとこうだろう。
それは、例えば『ボクシングが出来る』と一重に言っても、その言い方だけでその人がいかほどにボクシングをこなせるのかは分からないという事である。
例えばボクサーであると一言で言っても、ライセンスを取ったばかりでデビュー戦をこれから初めて行うという人もいれば、ヘビー級の世界チャンピオンである人も一重に『ボクサーである』のだ。
それが意味する所。つまり、クガネは金属操作術の専門家という事なのであった。
「う〜ん、これは厄介だねぇ……」
そう言いながら勇美は項垂れた。その際にも和服から覗いた脚がどことなく艶かしく動いて目に付いてしまう。
「そういう事ですよ、という訳で、私を金属『しか』使えない……と思っていると痛い目を見ますよ」
「確かにそうだね……」
そのクガネの主張には勇美も同意する所であった。何か一つを極めた者というのは手強いという事が何となく分かるのだった。
その理由は、勇美の妹の楓の事が一因なのであるが、ここではまだ触れるべき事ではないので割愛しておく。
そう勇美が想いを馳せる間に、クガネは次の攻撃の為の動作に再び移るのであった。
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