第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第6話 金属対決・別章:前編
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ュリー・ノーレッジである。彼女は金属だけではなく、火、水、木、土、果ては日や月といった上位の属性まで操るテクニシャンなのである。
だから、金属単一のクガネとならパチュリーよりかはやりやすいのではと勇美が思う所なのであった。
そして、依姫の元で修行を積んだが故に、それ以上に金属操作は身近な代物なのである。
それは他でもない、金属の神『金山彦命』の存在である。これによる金属の分解と再構成は勇美は幾度となく見たものであったし、何より自身もその力をマックスに備え付けさせて行使をしていったのだから。
これらの要因により、クガネには悪いが、実にやり易い相手ではないかと勇美は思う所なのであった。
なので、勇美はその事を表面には出さずに心の底で好機だという思いを抱えながら相手に向き合うのだった。
「ありがとうね、クガネさん♪」
「戦いの間に敵にお礼を言うのは禁物って所ですよ、勇美さん」
そう言い合い、二人はにこりと微笑み合う。やはり、依姫を尊敬の対象とする彼女達にはどこか通じ合う所があるようであった。
「確か、あなたは後手に周るのが得意だったようですね。では、お言葉に甘えて私から行かせてもらいましょう」
クガネは言うと、右手を掌を広げて前に突き出したのである。ここで満を持して彼女の『金属を操る』能力が披露されるという事であった。
そして、クガネはいよいよスペル宣言をする。
「【銅符「ブロンズソード」】」
そう言うと、クガネの掌の先に金属が集まり、光沢のある薄茶色の剣が形成されていったのだった。
「うわあ、これは『どうのつるぎ』ですね、たまげたなあ……」
その台詞回しはさておき、勇美はまるで敵の形成するものが自分の好きなゲームでよく使われるような産物に酷似している事に感動を覚えていた。これぞ男のロマンであると彼女は思うのだったが……残念、勇美は少女である。
そんな勇美を見ながら、クガネは微笑ましそうにこう言った。
「そういう無邪気なのは嫌いではないですよ。でも、私は淫夢も好きだけど、一番はレスリングシリーズですね」
「えっ、それも私と同じですよ」
相手の思わぬ嗜好に、勇美はすかさず同意するのであった。結構この玉兎は真面目そうに見えて、自分と趣味が合うかも知れないと思うのだった。
そして、このような話をしてくるあたり、このクガネという玉兎は案外天然かも知れないのであった。
とまあ、このような茶番が繰り広げられてしまったが、それもここまでにしておくのが良いだろう。そう思いクガネは次の段階に入るのだった。
「さて、得物は造った訳ですし……、ここで行かせてもらいますよ」
そう言うとクガネは『ハッ!』という気合を銅の剣を翳しながら籠める。すると、その剣はその剣先を勇美に向け、勢いよく彼女の元へと飛び掛かってきた
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