第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第6話 金属対決・別章:前編
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〜……」
エレベーターによる移動を終えた勇美は、心ここにあらずといった風に恍惚とした表情を浮かべていた。
その理由は他でもなく、エレベーターにあった。
何せ、周りの景色が360度見渡せる状態での上昇であったのだ。さながら遊園地のアトラクションを堪能するかのような刺激的な光景が勇美の視覚と感覚に飛び込んで来たのだから。
これには勇美はアンコールを願いたいとすら思うのだった。このような体感は幻想郷にいてもそう簡単には味わう事が出来ないのだから。
言うなれば、月の文化はファンタジーとSFが融合しているかのようであるのだ。それを勇美は言葉に、
「まるでスt……」
しようとして寸での所でやめる事が出来たのであった。
今の時代、あの作品を言及するのは些か不味いだろう。何せ、今では夢の国の一部となったのであるから。
こうして、別の存在と戦いを終えた勇美は、今回の任務である本番の戦いの場へと赴くのだ。
そして、エレベーターが目的の階に着くと『チン』という小気味良い音が鳴るのだった。
「……月でも『チン』なんだぁ?」
それに対して、勇美は呆れと安堵感の入り雑じった何とも言えないような感覚に陥る事しか出来なかったようだ。
ともあれエレベーターは目的の階へと着き、その扉を開けていくのだった。
その瞬間も、やはり目を引く光景が繰り広げられていた。何せ、エレベーターの中にいれば周りは一面外の景色となるのである。
そこに、エレベーターの出口が現れるのだ。それはまるで、何もない空間に入り口が開くかのような異質な外観であったのである。
だが、入り口が開いているのは紛れもない事実なのだ。だから勇美は迷わずにその中へと入るのだった。
そして、エレベーターの外へと出た勇美を待っていたのは、再び豪華に造られた塔の内装であった。だが、高い階へと辿り着いた為か、はたまた重要な拠点である為か、そこから伝わってくる緊張感は一味違っていた。
(まるで、職員室に入る時みたいだなぁ……)
その例えが今の空気を表すには一番的確なのであった。あの無駄に緊張する、空気だけで人を殺せそうな感覚がここにはあったのだ。
そして、勇美は塔内の道をひたすら前に進んでいったのだ。幸いそれは一方通行なので彼女は迷わずに済んだのである。
歩を進めて行って漸く、勇美は目的の場所であろう扉の前へと辿り着いていたのだった。
ゴクッ。勇美は思わず固唾を飲む。無理もないだろう、その扉からはいかにも他とは違うという重厚な佇まいを感じさせられてしまうのだから。
だが、意を決して勇美はその扉を開けたのだった。そして、今感じている空気が空気なだけに思わずこう口走ってしまった。
「先生、失礼します……」
「誰が先生よ」
あろう事か、勇美はそうやらかしてしまうの
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