第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第5話 三日月の塔 SIDE:I 後編
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くるのであった。
「でも、今回は相手が悪かったかもね♪」
そう勇美は一人で茶目っ気を出してみせるのだった。こうして依姫から神降ろしの力を借りてトリッキーな芸当をこなせる自分とマックスを今誇りに思うのである。
「さて、気を引き締めないとね」
そう勇美が呟く理由。それは他でもなく、中に見張りの玉兎がいる事をマックスが探知していたのだ。
ここまで来るのには、玉兎がいないルートを通って辿り着く事が出来たが、今回ばかりは敵に勘づかれる事なく……とはいかないようである。何せ、目的のアイテムを手に入れるにはその玉兎のいる部屋へと侵入しなければいけないのだから。
なので、勇美は意を決して部屋の扉を開けたのであった。
すると、中には案の定一羽の玉兎がいたのである。そして、向こうの方もこちらに気付いたようだ。
さすがは清蘭や鈴瑚と同じ嫦娥管轄の玉兎であるようだった。月への侵略が行われる前までだらけていた依姫管轄の玉兎とは感じが違うようである。
それに加えて出で立ちはTシャツにハーフパンツというラフな格好である事からも、否応なしに彼女が嫦娥管轄の玉兎であると認識させられるのである。
(依姫さんとこが制服警官なら、嫦娥って人の所は私服警官って所かな……?)
などと勇美は些かどうでもいいような事を考えていたが、当然のようにその思考は遮られる事となった。
「お前はもしかして綿月姉妹の所から送り込まれて来た戦力か?」
その玉兎は格好だけでなく、口調もどこか少年のようであった。
それに対して、自分もボーイッシュな外見をしているが故に勇美はどこか親近感を覚えた。
今回の騒動を片付けたらお近づきになるのも悪くないかも知れない、そう勇美は少し気分が高揚するのだった。
だが、今は異変解決の最中である。そのような雑念は今は祓わねばならないだろう。故に勇美は程よい緊張の中でこう言うのであった。
「そうだよ。そんでもって、そっちの事情はよく分からないけど阻止させてもらうからね♪」
その勇美の言葉を聞いて、その少年風玉兎も挑発的な笑みを浮かべるのであった。
「ボクに勝てると思っているのかなぁ?」
その言葉を聞いた瞬間、勇美の脳内に電流走る。
「ぼ、ボクっ娘だああああ〜〜〜っ!!」
「うわっ!?」
突然の敵の豹変に、今まで余裕綽々だった少年風玉兎も堪らず引いてしまったのだった。無理もないだろう。
「ど、どうしたんだい、君?」
「あ、ゴメンね」
敵に嗜められて、そこで勇美は漸く落ち着きを取り戻していき、そしてその理由を説明していくのだった。
「ごめんね、こんな反応されちゃあ、普通驚くよね。実は、幻想郷で一人称は『僕』の少女っていなかったからなんだよね……」
そう言って勇美はしみじみとかたり出す。男勝りの魔理沙も『私』だし
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