第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第5話 三日月の塔 SIDE:I 後編
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ヒドゥンの力をマックスに備わせ、勇美はエレベーターの水晶体へと検索を試みたのであった。
その後、無音の時間が暫し続いていたが、それもすぐに終わる事となる。再び水晶体から黒い液体と化したマックスが滲み出たかと思うと、勇美の傍らへと戻ってきたのだった。
そして、マックスは再び元の機械の小動物の姿へと戻ると、ぴょこんと勇美の肩へと飛び乗った。
「えらいよ、マッくんよくやった♪」
そう言って勇美は自分の分身の活躍を労うのだった。
今の行為は、流動体と化したマックスを水晶体の内部へと送り込み、その中の様子を探る効果であった。それにより勇美にはある事が分かったのである。
「う〜ん、『中の歯車が一つ足りない』か……成る程……」
そう勇美はしみじみと呟きながら思案する。そして、ある結論に達する。
「やっぱりこれは、『もちろんワザとだ』って所だろうね」
それが勇美の答えであった。エレベーターを作動させる部品が足らないのは、玉兎達が敵に侵入された場合に足止めをする為に敢えて部品を外しているのだと。
逆に考えて、勇美はある確信に至るのだった。エレベーターを使えさえすればこの塔の奪還は可能だという裏付けになっていると。
その事が分かれば、最早勇美には迷いはなかったのである。後は何としてでも部品を探し出してエレベーターを再び動かせるようにするまでだと。
だが、今から歯車の場所を探すべく、塔の部屋という部屋をしらみ潰しの如く周っていたら手間となるだろう。それに、いつ見張りの玉兎に発見されるかも分からないというものである。
なので、ここは勇美は『楽』をする事にしたのであった。
「マッくん、もう一仕事お願いね♪」
勇美はペロリと舌を出して茶目っ気を出して見せながら、マックスにもう一度働いてもらうべくお願いをした。
するとどうだろうか? マックスは先程のように、再び流動体となって黒い液状に溶け出したのである。
「じゃあ、お願いね」
そう勇美が言うのに相槌を打つかのように、マックスは床へと染み出していき、その姿をこの場から消したのであった。
「これで、探す手間が省けるってものだね♪」
そう、勇美は先程水晶体の中を探索した時のように、今度は塔全体に探索網を広げて、一気にその場所をいぶし出そうとしているのだった。
そして、暫しその場で勇美は待機する。何事も忍耐が肝心である。
訪れる勇美にとっての些か暇な時間。彼女はその時間をやや持てはやしていたのだった。
「ガラホを持ってくれば良かったかなぁ……」
勇美がこの場で欲しがったのは、ガラケーのように物理的キーで扱え、スマホのように全てではないが、ある程度アプリも使える便利な機材であった。
勇美は外の世界にいる時は屋外ではそのガラホでアプリを使って小説を書いていたのだ
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