第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第3話 月での合流
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拶を享受している場合ではないのでしょうけど」
「はい、そのようですね。何やらまた大変なご様子で」
「ええ、全くね」
勇美のその指摘に、依姫も同意する所であったのだ。折角先の月の異変が解決したというのに、また新たな異変が起こっているのだから。
だが、それ以上に依姫は今この場で言っておかなければならないと思う事があったのである。
「でも、今回は幻想郷の者達を巻き込んではいないのは、これ不幸中の幸いといった所かしら?」
その事を依姫は伝えたかったのである。前回は計らずとも、月の問題の筈なのに、無関係の筈の幻想郷を巻き込んでしまったのだから。
例え依姫がその事への直接の関与はしていなくとも、同じ月の民として責任を感じる所があったのである。
だが、それを聞いて勇美は首を横に振るのだった。
「いいえ、あの時は月の民の皆さんは大変な目に遭っていたのですから、その事を責めてばかりはいられませんから」
「……ありがとう、そう言って貰えると肩の荷が降りる思いよ」
そう言って依姫はなけなしの笑顔で以って勇美に微笑み掛けたのであった。
そして、勇美は話を元の軌道に戻すべく先を促す。
「でも、今はその事を話している時ではないのでしょう?」
「ええ、このような事態は始めてですからね。さすがの私でもこれには手をこまねいている状況よ」
そう言う依姫の様子は、気丈に振舞っているものの、そこには疲れを隠せはしない状態であったのだ。それを勇美は見逃さなかった。
「やっぱり、今まで依姫さんは玉兎達と戦っておいででいられたのですね」
「目の付け所がいいわね、勇美。その通りよ。彼女等を今まで月の兵士達と協力して相手をしていました。ですが……」
「相手が多すぎるという事ですね?」
勇美はここで合点がいったと相槌を打つのだった。
その指摘に対して依姫も返す。
「そう、その通りよ。あれだけの数が相手ではこちらの方が分が悪いというものよ」
そこまで言うと依姫は一旦言葉を区切り、その後に「さっきの勇美の話になるけど」と付け加えたのである。
「確かに月の民は基本的なスペックが高いわ。でも、実際に戦える人となると限られているわ。地上に例えると欧米人を持ち出せばいいかしら?」
そう言うと依姫は丁寧に説明していくのだった。
いくら欧米人が日本人よりも肉体的に恵まれているといっても、全ての彼等が鍛えられた日本人を上回る訳ではないと。
そう出来るのはちゃんと訓練を積んだ者のみであるのだと。つまり、月の民といえど皆が皆元から優秀な戦士ではないと言うのだと依姫は締め括ったのだった。
「成る程、説得力がありますね。依姫さんの強さはアホみたいに磨き抜かれた所にありますからね」
「勇美、それは聞き捨てならないわ。それだと私がいかにも脳筋みたいではない
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