第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第3話 月での合流
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鈴仙、ごめんなさいね。あなたは地上の兎になったのに、また月の面倒事に巻き込んでしまって」
豊姫のその思わぬ言葉に鈴仙は狐に摘ままれてしまったかのような心持ちとなったが、すぐに気を持ち直して笑顔を携えながらこう言うのだった。
「気にしないで下さい豊姫様。確かに私は地上の兎になりましたが、だからといって生まれ育った場所をバッサリ無関係と割り切る事も出来ませんからね」
「そう言ってもらえると助かるわ」
鈴仙にそう言われて、豊姫の方も方の荷が降りるような気持ちとなるのであった。
そして、豊姫の力にて一行は月へと向かったのである。
◇ ◇ ◇
やはり、豊姫に掛かればそれは一瞬であった。まるで、まばたきをするかのように一行が目にしている風景が変化したのだ。
だが、勇美が想像していたのとはやや違ったのである。その事を彼女は指摘する。
「あれ、ここは建物の中ですか……?」
そう、その勇美の指摘通り、一行は月の屋外ではなく、直接建物の中に現れたという事なのであった。
その事について豊姫は説明していく。
「うん、今は月の都が玉兎達に制圧されているからね。百聞は一見をしかず……って事で、外と見てみる?」
そう豊姫に言われて、勇美は建物の窓から、都の外へと視線を向けたのであった。
「!?」
瞬間、勇美は驚愕してしまった。
何せ、何かの祭りかの如く玉兎達が都を所狭しと占拠していたのだから。これは、駅前が祭りで歩行者でごった返している所を想像してもらえればいいだろう。
「何で、こんな事になっちゃってるんですかぁ〜……」
余りに驚愕した為に、勇美は口元を外されたゴム風船のような喋り方をしながら体の気が抜けるような虚脱感に襲われるのだった。
「勇美ちゃん、出来ればそれは寧ろ私達が聞きたい位なのよ」
そう言って豊姫はすっくと肩を窄めて言った。
「う〜ん、そうですよね。でも、兎さん達なら月の民の皆さんなら対処出来るんじゃないんですか?」
そう勇美は指摘した。彼女は月の民のスペックの高さは正にその人達と隣り合わせに接している為に、非常によく分かっているが故の事である。
それは、勇美のもっともな読みであろう。そして、的確に的を得ていると言えよう。
だが、ここでその理論に意を唱える者が現れるのだった。
「勇美、貴方の読みはいい所を突いているわ。だが、それは少し違うという事ね」
「その声は?」
その声を聞いて、勇美は流行る気持ちを抑える事が出来ないのだった。何故なら、その声の主は彼女が月に着いたら真っ先に会いたい人の物であったからである。
「依姫さん!」
そう、勇美がこの世で最も敬愛してならない恩師のような存在、綿月依姫その人であったからである。
「勇美、久しぶりね。と言っても、今はそう悠長に再会の挨
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