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MOONDREAMER:第二章〜
第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第2話 新たな野望
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変とは一体何なのでしょうか?」
「そうね……」
 勇美に聞かれて永琳はそう呟くと、意を決したように話を切り出した。
「これはイシンとサグメから届いた情報なのですが、率直に言うと、月の都が結集した数多の玉兎達に制圧されかけているとの事です」
「!!」
 その内容には勇美が驚いてしまったのであった。つい三ヶ月前に月の異変を解決したばかりだと言うのに、またしても異変が起こったのかと。
 だが、ここで勇美はその内容に違和感を覚え、その事を口にする。
「でも、八意先生。私がよく知る玉兎さん達は依姫さんの管轄の筈。だとすると……」
「勇美ちゃん、察しがいいわね。そう、今回の月の都の制圧に乗り出している玉兎達は、依姫の管轄ではないわ」
 そして、ここで永琳は輝夜に目配せをした。その者の名前を今ここで出してもいいのかという意味合いを籠めたアイコンタクトである。
 その合図に輝夜は首肯する事で同意した。どうやら輝夜からの承諾は得られたようだ。
 その輝夜の意思を受け止め、意を決して永琳は口に出していくのだった。
「そう、勇美ちゃんもその名前を聞いた事があるでしょう。そして、ヘカーティアは言わずもがなよね」
「と、なるとやはり……」
 そこまで言われて、ヘカーティアは合点がいく所であった。今までの話の条件を照らし合わせていけば、おのずと答えは決まっていくのである。
「そう、『嫦娥』よ。その者が今回の玉兎達を斡旋している存在と考えられるわ」
「『嫦娥』……あっ」
 その瞬間、勇美の頭に電流が走るような感覚に陥ったのだった。そして、その思いを勇美は口にする。
「それで八意先生は言うべきかどうか躊躇っていたのですね……あ、すみません。先生と輝夜様には余り触れられたくない事でしたね」
 そこまで言って勇美は、自分の発言を顧みるのであった。些か自分は事に踏み込み過ぎたようだと。
 だが、当の一人である永琳は気にする事はないといった様相の元に言うのだった。
「気遣いありがとう勇美ちゃん。そう、嫦娥は私の作った蓬莱の薬を飲んで不死身となった蓬莱人なのよ」
「……」
 その言葉に皆は無言で聞いていた。その事実は皆が知っている事だったから、今になってどうこう言おうとする者はこの場にはいなかったのである。
 と、そこでヘカーティアが口を開いたのだった。
「やはり嫦娥だったか。奴は厄介だ。私達も止めにいかねばならないな」
「ヘカーティア様……」
 言うヘカーティアを勇美は感心しながら見ていたのだった。
 ヘカーティアにとって嫦娥は復讐の相手には違いないのだ。だから、今回相手が事を起こしたのならば、それは彼女への報復の口実にはもってこいの筈である。
 だが、ヘカーティアは『止める』と言ったのである。相手の行為を利用しないその姿勢に勇美は心打たれ
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