第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第1話 新たな修行風景
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沼の復讐心に囚われている自分の目指すべき何かを見つける足掛かりになると思っての事である。
そんな純狐は、今しがたボケの泥沼に囚われた勇美とヘカーティアを救い出す(掬い出す)べく声を掛けながら、手にはアイスティーの乗ったお盆をメディスンと共に持っていたのだった。
それを見たヘカーティアは、正に『丁度それが欲しかったんだ』と言わんばかりに食い付いて来たのである。
「ありがとう二人とも、グッドタイミングだよ。勇美への稽古も終えて喉が乾いていた所なんだよ」
そう言うとヘカーティア達は全員でアイスティーを受け取るのであった。
そう、ヘカーティア『達』である。純狐はちゃんとヘカーティアの体全員分のアイスティーを用意していたのだった。この辺りも彼女がいかにヘカーティアへの理解があるか窺えよう。
だが、その前に純狐は言っておかなければならない事があったのである。
「でも、異界の体はまずパンツを穿くように」
「……手厳しいな」
「当然です」
苦笑いで返すヘカーティアに対して、純狐は毅然とした態度で望むのであった。いつまでも友人をあられもない格好にしておく訳にはいかない、ましてやこれから飲み物を接種するような状況にあっては尚の事であろう。
その意見に賛成のメディスンは彼女からも口を挟もうとする。だが、彼女はミスを犯してしまうのだった。
「下の口で飲みたいなんて言い出さない内にね、ノーパンの女神さん?」
「!?」
その瞬間、純狐は思った。『メディスン、それは悪手よ』と。そして、彼女の読みは当たってしまう事となる。
「ご心配には及ばないさ、九十九神さん。寧ろ私のそこは今、すごく濡れちゃっているからな。英語にすると、『マイ ジューシーズ フロウ』ってな」
「っ……!」
この瞬間、メディスンは自分の敗北を認めたのだった。そして、わざわざ英語にする事もなかろうにとも痛感したのである。
「……くっ、この変態おとぎ三銃士め……」
メディスンはそう悪態をつくのが、今の彼女に出来る精一杯の悪あがきであった。
ともあれ、これがヘカーティア達が幻想郷に移住してから繰り広げられている永遠亭の日常の風景なのであった。どこかアブノーマルかつアダルティックな部分があるが、あくまで日常的なやり取りなのである。
だが、その日常を打ち砕く展開が今正に起ころうとしていたのである。
「ちょっと、勇美ちゃん達。大変よ!」
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