第四章 ダークサイドオブ嫦娥
第1話 新たな修行風景
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
な」
勇美に自分の指導を気に入ってもらえているようで、ヘカーティアの方も満更ではないといった様相である。
そして、ヘカーティアが出来る方針を勇美は例えて見せる。
「例えるなら、ヘカーティア様のやれる事は漫画を描くのと似ていますね」
「と、言うと?」
ここに勇美の突拍子もない例えが出てきたのである。だが、それも慣れたもので、ヘカーティアは寧ろ『その答え』を楽しみにして聞きに来る程であった。こういう器量の広さが、ヘカーティアの大胆で大らかな性格を形成しているのだと言えよう。
なので、その事も勇美には有難かったのである。依姫も器は大きいけれど、如何せん真面目な性格なので、そこから来る『固さ』は拭い切れないものがあるのは否定出来ないのである。
だが、ヘカーティアの場合は竹を割ったような性格の為に、とてもとっつきやすい側面があるのだった。
さて、話を勇美の『ヘカーティアを漫画に例えた』事に戻そう。
漫画というものは、ストーリー考案からネーム作成、下書きにペン入れにトーン張りといった幾つもの作業をこなさないといけないのだ。
中にはそれを一人でこなしてしまえる猛者な漫画家もいる事はいるのであるが、基本的にはアシスタントの協力の下に数人で行わなければ、とてもではないがこなせない仕事なのである。
そして、中にはストーリーを考える人と、絵をとても美麗に仕上げる人とで、漫画と物語作成さえ別々の人で行う事すらあるのである。
閑話休題。ヘカーティアはそのような分担作業を自身一つの存在の下にこなせてしまえるという極めて便利な特性の持ち主であるという事であった。
そして、勇美からその事を聞いたヘカーティアはうんうんと懸命に頷いていたのである。
「成る程……。勇美のその例え、面白いな」
「そう言ってもらえると光栄ですね♪」
ヘカーティアにその例えのお墨付きを頂いて、勇美の方も誇らしくなるのであった。
「それにしても、地上には興味深い文化があるものだな。物語を絵にして楽しむとは。やはり、地上に来た甲斐があったというものだな」
「そうでしょう、そうでしょう♪」
ヘカーティアに自分の住まう場所を絶賛されて、勇美の方も上機嫌となるのであった。例えるなら、外国人に日本の良さを褒められる時のような、そんな感覚がここには存在していたのである。
この事で、勇美の心持ちはとても充実したものとなっていたのだ。だが、ここでもう一つ、勇美はヘカーティアに聞いておかなければならない事があったのだ。これは、正に勇美にとって死活問題なのである。
「ところでヘカーティア様……」
「勇美、みなまで言うな」
勇美に呼びかけられたヘカーティアは、さらりと彼女を落ち着かせる為に宥めるかのように言った。
「では……」
勇美は流行る気持ちを抑えながら、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ