暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
艦娘と提督とスイーツと・61
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を剥がしてみると、側面も底面も見事に真っ黒。一瞬『炭の塊じゃねぇのか?』と疑いたくなる見た目だ。この焦げは高温で焼き上げた事によって表面の生地の中のグラニュー糖がカラメル化して、皮膜の様になっている物……らしい。

「言われてみれば、ちょっとカラメルソースの様な香りが……」

 鹿島は期待感に胸を躍らせながら、ケーキに顔を寄せてクンクンと匂いを嗅いでいる。

「さて、仕上げに……」

「切り分けて、盛り付けですね!」

「粗熱が取れたら冷蔵庫で一晩寝かせる。切って食べるのはそれからだ」

「へっ?」

 鹿島はポカンとした顔をしている。呆気に取られた顔、ってのはこういう顔の事を言うんだろうなというお手本の様な顔だ。

「今すぐ、食べられないんですか……?」

「あぁ、正式な作り方でも少し寝かせてから食うらしいぞ?」

「そ、そんなぁ…………」

 鹿島はその大きな瞳をうるうるさせて、今にでも泣き出しそうだ。

「んで、コレが一晩寝かせたチーズケーキになりまーす」

 そう言って俺は予め昨晩作っておいたバスク風チーズケーキを取り出す。俺だって料理人の端くれだ、客に出すものをぶっつけ本番で作る訳ねぇだろうがよ。騙された、と気付いた鹿島の顔が、一瞬にして真っ赤になる。そして、

「提督さんのバカバカバカ〜っ!鹿島を騙したんですね!?」

 河豚みたいな膨れっ面で、俺の胸板をポカポカと殴ってきた。勿論、じゃれつく程度の力加減でだが。

「やっぱり美人は得だなぁ、膨れっ面でも可愛いぞ?鹿島」

「も〜っ!知りませんっ!」

 なんて事を言いながら、その後しっかりとチーズケーキは食ったんだけどな。味としてはパリパリのカラメルの部分の苦味がいいアクセントになって、中のしっとりとしたチーズケーキ部分の味を引き立てていて非常に美味かった。甘さ控え目のベリーのソースとかジャムを添えてもまた美味い。それとこのチーズケーキ、酒場で提供されてるって話の通り、洋酒に合うんだよコレが。オススメは赤ワイン、ウィスキー、コニャックなんかのチーズに合う酒は大体イケるぞ?自炊好きの飲兵衛諸君は是非試して見てくれ。




 
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