第六百十話 考えてみれば不思議その八
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「そうよね」
「けれどオセローはでしょ」
「確かにシェークスピアの作品でもかなり」
「愚かよね」
「奥さん信じないで」
疑い憎みとだ、ダイアナはルビーに言った。
「最後殺しちゃうから」
「もうそれ見ていたら」
ルビーも応えて言った。
「確かにね」
「愚かの極みね」
「そうよね」
「あとリア王も」
レミはこの登場人物のことについて言及した。
「かなりね」
「愚かよね」
「あの人も」
「末の娘信じられないで」
「コーデリアね」
リア王における悲劇のヒロインである、姉妹同士で殺し合いその中で死ぬ。ダイアナもルビーもそのことを話した。
「一番自分を愛していたのに」
「それを見抜けなくて」
「凄い強情になって上の娘二人に嫌われて」
「どんどん孤立してね」
「荒野を彷徨って」
「道化や忠臣だけが寄り添ってて」
愚かさの結果である、リア王の悲劇は自分の愚かさが招いたものでありそれを自業自得と言えばそうなるものであろ。
「それでコーデリアに助けられるけれど」
「結局コーデリアも死ぬし」
「最後は何もかも失って破滅」
「自業自得だけれど」
そう言っていい結末だが、というのだ。
「悲しい結末ね」
「本当にそうよね」
「愚かさが招いたことで」
「その愚かさときたら」
「オセローとどちらが愚かかしら」
レミは本気で考えた。
「一体」
「わからないわね、まあマクベスはね」
舞台は最後の場面になっていた、ルビーはそれを観つつ話した。
「愚かっていうか」
「権力欲を見抜かれてね」
レミは言った。
「他ならぬ奥さんに」
「それで唆されてね」
「自分の中にある悪も動かして」
「それで簒奪者になって暴君になって」
「そして死ぬ」
「そうなるから」
だからとだ、ルビーも応えた。
「愚かかっていうと」
「違うわね」
「ハムレットやロミオは若さ故の至らなさだけれど」
ダイアナは彼等についてはこう言った。
「けれどオセローとかリア王は」
「もうどうしようもないね」
「とことんの愚かさよね」
「舞台観ていて腹が立つ位の」
「それ位のね」
レミもルビーも言った。
「愚かさで」
「舞台に言いたくなるわね」
「そうそう、奥さんか娘さん信じろって」
「あんたは馬鹿かって」
「馬鹿過ぎて」
ダイアナは愚かをそう言い換えてまた話した。
「本当に腹立つのよね」
「オセローもリア王も」
「観ていたら」
「マクベスは破滅に向かうのをじっと観るけれど」
それでもというのだ。
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