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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
7.104訓練分隊V
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を与えるな!糞餓鬼どもは今坂下で小便ちびってるぞ!一気に畳みかけろ!」
「了解!」
掃討戦を開始した陸上歩兵隊は今までの欝憤を晴らすかの様に怒涛の勢いで攻め立てた。木々の間を縫うように駆け抜け104分隊を追撃する。その追撃から逃れるために巧は殿を任せた二人に死守命令を下すしかなかった。
「お前ら二人はここで追撃を食い止めてくれ!俺たちは包囲を何とか食い破って脱出する。済まないが頼む!」
「分かってるよ遠田。俺たちの合格はお前に託す。絶対に生き延びろよ?」
「…っ!ああ、任された!」
絶望的な撤退戦。それでも負けるわけにはいかなかった。ここで負けるということは他の隊員の衛士への道を閉ざすということだ。初めてできた仲間たち、その運命が巧の肩に重く圧し掛かる。それを振り払うように巧は駈け出した。
◆
演習六日目。巧は泥に塗れながら地を這っていた。あの奇襲を受けてた後の逃走で何とか敵の包囲を突破したものの、追撃を逃れるためにまた二人殿として残した。撤退の際に使うつもりだった罠が解除されていたのである。その後、残った3人で手分けをして調べたところ、ほとんどの罠は解除されていた。おそらく二日目、三日目を使って探索と同時に解除したのだろう。広い範囲に仕掛けていたが、人数にものを言わせた人海戦術の前ではどうしようもなかった。
巧の心は暗い。奇襲を予想できずに田上達を失い、自分の命令で殿を引き受けた4人は脱落。これが実戦だったなら巧は7人の仲間を失い、その内4人には『死ね』と命令したようなものだ。
そして今、生き残った仲間たちは体力の限界で休んでいる。巧は周辺探索と食糧調達を兼ねて身を屈めて移動していた。体に泥を塗り、葉を纏って迷彩を施していた。こんなものが正規兵に通用するかどうかはわからなかったが、やらないよりはましである。
野草と茸、蛇にネズミを仕留め仲間がいる場所に戻ると、仲間はぐったりした様子で出迎えた。目には絶望が映っている。
「取ってきたぞ。まずは食ってからだ。後1日半。凌げば合格だぞ。」
巧が励ますが二人に元気はない。
「遠田、次来たらお前は逃げろ。俺たちはもう動けない。足手まといだ。」
「ふざけんな!これは俺たち全員の試験だぞ!簡単に諦めるんじゃねぇ!」
「いや、だからこそだ。迎撃できるほどの戦力がないんだから、あとは隠れて生き残るだけだ。俺たち話し合ったんだ。今一番合格できる可能性があるのは、お前が俺たちをおとりにして時間を稼ぐってことだ。一人なら隠れやすいし動きやすい。」
「しかしっ!」
「わかってくれよ遠田。確かに情けない話だが、それが一番の方法だ。お前が出ている間に俺たちが持ってる全ての手榴弾で周囲に罠を張った。全部上手くかかればかなりやれるはずだ。それで相手も部隊の立て直しと探索にまた時間を使う。その
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