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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
7.104訓練分隊V
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な気分であった。酒があれば飲んでいたかもしれない。
「おい皆、いい気分になるのは構わないが油断するなよ。まだ演習始まって一日目だ。俺たちはこの演習が最後のチャンスなんだ。追い詰められているのは俺たちの方なんだ。」
田上が分隊の浮かれきった雰囲気を戒める。そうまだ演習は始まったばかりで、相手もまだ自分たちの何十倍もいるのだ。油断はできない。
田上の注意を聞き全員が黙り込む。浮かれていたことに気づいたようだ。
「巧、ちょっと来い。話がある。」
巧を呼び出す田上。田上は分隊長だが、巧は実質副隊長のような存在であり実力はエース級である。作戦を練るのに田上はまず巧と打ち合わせをすることにしていた。
「悪かった田上。俺も浮かれてたよ。」
「それはしょうがない。でも総戦技演習がそう簡単に行くわけがないんだ。準備は怠りたくない。で、相手はどうだった?」
「うーん、そうだな…動きは洗練されてたよ。物陰に潜んで、隊全体で連動するように動いてた。やっぱり錬度が違うんだろうな。」
「そりゃ陸上歩兵隊だからな。俺たちなんかとは年季が違うだろうよ。それで?やれそうか?」
「正直言って呆気ないほど簡単に陽動に引っかかった。隊員の動きを考えると少し不自然だな。……多分だけど相手もこんな状況で戦うことを想定していないから慣れていないんだと思う。刀一本でBETA相手にする訓練なんて受けてないだろう。」
「まあな…考えてみれば相手も大変だな。訓練兵の演習にこんな形で協力させられるんだから。でもそんなことは俺らには関係ない。今後どう動くと思う?」
「相手のことはよく分らないけど、基本通りなら索敵からだろうな。俺たちの位置はまだ分かってないだろうから、まずは俺たちの場所の特定が先だろう。相手に遠距離攻撃の手段は少ない。遭遇戦はできないはずだ。だから場所を特定して包囲、総力戦で俺たちを押しつぶしに来るだろうな。」
「そうか、だったら見張りと巡回を密にしないとな。」
「ああ、もうこんなにうまくいくことはないと考えた方がいい。相手もプロなんだから。」
「俺の仕事は皆の気が緩まないように気を引き締めることだな。よし、明日からも頼むぞ。」
「もちろんだ。」
この時二人は考えてなかった。歩兵隊は一人一人が自分たちよりも経験があり、今の状況に腹が煮えくりかえっている。その怒りから来る怒涛の攻めがどれほど苛烈であるかを。
◆
演習四日目。最初の接敵から一度も戦闘が発生していない状況に104分隊は疑問に思いながらも緊張の糸が切れつつあった。24時間体制で気を張り詰めるというのは難しい。警戒も集中しているようでどこかルーチンワークをこなすような状態になっていた。そんな隊の雰囲気に田上と巧は危機感を覚えつつも、それを正すことはできなかった。刺激がない状況で集中力を切らさないという
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