暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第77話:種は蒔かれた
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ァントムが生まれるんだよ。明星 颯人は絶望せずとも死に、そして代わりに彼の魔力から出来たファントムが世に生まれる事になる」

 ソラの口から語られる最悪のシナリオに、奏は全身を震え上がらせた。大丈夫だと、問題ないと思っていた颯人がよりにもよって自分の所為で死への階段を上っていた事を知り、恐ろしくなったのだ。

 しかし頭の一部はまだ冷静さを残してくれていた。ソラは敵であり、この言葉も自分を欺く為のデタラメであると断じていた。

「そ、そんなデタラメに騙されると思ってるのか? 知ってるんだぞ、お前らがそう言う口八丁手八丁でこっちを揺さぶってくる様な奴らだってのは」

 そうだ、現にメデューサがそうだったではないか。彼女の場合騙そうとした訳では無く、颯人に誤魔化されたのを信じて誤情報を告げただけではあったがそれでも口先で奏達を揺さぶろうとした。
 今度もきっとそうだと、そうであってくれと言う希望も交えてソラの言葉を嘘と思った。思いたかった。

 それに対して、ソラはクスクスと笑いながら奏から離れる。

「ンフフフフフッ! まぁそう思いたいならそれでもいいよ。それで取り返しのつかない事になっても僕は知らないけど」

 気付けばソラは奏の目の前に居た。既に拘束されていないので彼から距離を取ろうとした奏だったが、何故か足が動かない。

「でもま、どうしても不安になったら僕の事頼ってよ。何時でも力になってあげるよ」

 ソラはそう言って《《指輪を嵌めた手で》》奏の額を突き、そして踵を返してその場を離れて行った。

 後に残された奏は、その背を見送る事もしなかった。まるで魂が抜けたかのように放心してその場に佇んでいた。

――颯人が、死ぬ…………颯人が、アタシの所為で……――

 最悪のシナリオが、今まで以上に明確なビジョンとなって奏の脳裏を何度も過る。その度に奏の心は悲鳴を上げ、震えが止まらない。

「颯人……颯人――!?」

「どうした、奏?」
「ッ!?」

 出し抜けに背後から颯人の声が響いた。弾かれるようにそちらを見ると、そこには何処かの出し物だろうミックスジュースの紙コップを持った颯人が不思議そうに奏の事を見ていた。

 颯人は振り返った奏の顔を見て直ぐに彼女が何かを不安に感じている事を見抜き、慌てた様子で彼女に近付いた。

「おい、奏どうした? 何かあったのk――」

 颯人が言い終わる前に、奏が颯人に抱き着いた。衝撃で颯人が持つジュースが零れそうになるが、颯人がギリギリのところでバランスを取りジュースは一滴も零れる事は無かった。

「奏――?」

 明らかに何時もと様子の違う奏に、颯人が静かに声を掛ける。
 すると奏は、震える声で颯人に問い掛けた。

「なぁ、颯人? 体
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