第二話 はざかいの時その三
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「それでもね」
「学校も塾もないとでしょ」
「全然歩かないから」
「そう、だからね」
「それでよね」
「運動の為にもね」
「お散歩しないと駄目で」
「歩くならよ」
それならというのだ。
「もうね」
「ワンちゃんのお散歩ね」
「それにうちの子トイプードルだから」
小型犬である、その中でもかなり小さい。見れば部屋のケージの中にダークブラウンの毛の足の短い犬がいる。
「お散歩も楽でしょ」
「ええ、小さいからね」
「大きい子ならともかくね」
「しかもこの子大人しいし」
「行って来なさい」
「それじゃあね」
「ええ、ワンちゃんもお散歩しないと」
そうしなければというのだ。
「よくないから」
「人間以上によね」
「ワンちゃんをお散歩に連れて行かないなんて問題外よ」
母はこのことは強く言った。
「本当にね」
「ああ、何かインスタグラムで言ってたわ」
咲はここでこの話をした。
「買ってたワンちゃん、うちと同じトイプードルの女の子だったけれど」
「どうしたの?」
「子供生まれたら一日中ケージに入れてね」
「それ飼育放棄よ」
母は即座に怒った声で言った。
「もうね」
「それで一日中鳴くからってね」
「一日中ケージに入れたら当たり前でしょ」
「私に言われても困るわよ」
怒って言ってきた母に困った顔で返した。
「私がやってないのに」
「それはそうだけれど」
「けれどそれで保健所に送ってね」
「飼育放棄してなの」
「それまでインスタにずっと出ていたのに出て来なくなったからある人が聞いたら」
インスタグラムの中でというのだ。
「あっさりとね」
「保健所に捨てたって言ったの」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
「すぐにその人の親戚の人が引き取ったらいいでしょと書いたけれど」
「よくないわよ」
「だからインスタ大炎上して」
それでというのだ。
「閉じたけれど」
「酷い飼い主ね」
「そうよね」
「子供が生まれたら邪魔になったのね」
「そうみたいよ」
「その人は犬を家族と思ってなかったのよ」
母の顔と声は怒ったままだった。
「もうね」
「やっぱりそうよね」
「おもちゃだったのよ」
「おもちゃ?」
「そう、おもちゃだったのよ」
その犬はその飼い主達にとってというのだ。
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