第一章
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閉ざした心を徐々に開いていって
ニヤ、アルビノに近い白い身体で丸い耳のやや大型の犬である彼女を見てだった。テネシー州のアロードッグレスキューに勤務しているキンバリー=スローン黒髪と黒い髭、黒い目の面長の優しい顔の彼は難しい顔になった。
「これですよ」
「あまりにもだね」
「ええ、酷過ぎます」
施設の所長にこう答えた、見れば犬は怯えきっていて二人を見てがたがたと震えて全く動こうとしない。
「ニヤっていいますね」
「名前はね」
「二歳の女の子ですか」
「そうだよ」
初老のアジア系の男性である所長も難しい顔である。
「この子はね」
「そうですね」
「前の飼い主に酷い虐待を受けて」
「それで捨てられて」
「ここに保護されたけれど」
「こうしてですか」
「怯えきって」
所長はさらに話した。
「動かないんだよ」
「全身傷だらけですね」
見ればそうなっていた。
「本当に」
「そうだね、それだけだよ」
「酷い虐待を受けていましたね」
「うん、だからね」
「この子はですね」
「時間をかけて」
そうしてというのだ。
「心を癒していこう」
「そうしますね」
「これからね、しかし」
「それでもですね」
「歩くことも出来ない位だから」
怯えきってというのだ。
「かなりね」
「時間がかかりますね」
「そのことは覚悟しよう」
こう話してだった。
キンバリーはニヤの担当になり彼女を癒すことになった、だが。
「ずっとです」
「心を閉ざしてだね」
「今も僕を見ても」
それでもというのだ。
「怯えてです」
「震えているんだね」
「迂闊に動いたら」
キンバリーがそうしたらというのだ。
「殴られたり蹴られたりすると思って」
「余計にだね」
「震えて」
そうしてというのだ。
「怯えます」
「それだけ酷い虐待を受けてきたということだね」
「そうですね、ですが」
「そうした子だからね」
「じっくり接します」
「優しくね」
「そうしていきます」
こう所長に話した。
「そして何時か」
「あの娘にも」
「家族を探してあげましょう」
「そして幸せにね」
「なってもらいましょう」
キンバリーはこう言ってだった。
いつもニヤに優しい声をかけた、ニヤはそんな彼にも怯えて近寄ろうとせず震えて動かないままだったが。
ある日だった。
「ワン」
「ニヤ、動いたんだね」
立ち上がって鳴いた、その彼女を見てだった。
キンバリーは笑顔になった、そうしてだった。
所長にこのことを話すと所長に喜んで言った。
「いいね、じゃあね」
「これからもですね」
「少しずつね」
「あの娘に優しくしていって」
「心を開いて
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