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種類は違っても心は
第一章

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                種類は違っても心は
 イギリスのリバプールのスチュワート家の愛犬リロはクリーム色の毛のシベリアンハスキーの雌である。
 不妊手術をしていて子供はいないが。
「いいお母さんだよね」
「そうよね」
「こんないい娘いないよ」
 家族はそんなリロを見て笑顔で話すのが常だった。
「ワン」
「ワンワン」
 二匹の黒と白のハスキーの子犬達の親になっている、血はつながっていないが雄のハスキーのトーマスとアルフはリロによく懐いていた。
 それにだった。
 雌の白い兎のバンビもだった。
「・・・・・・・・・」
「ワン」
 リロは無言で来るバンビをいつも暖かく迎えていた、家の犬や兔達の優しいお母さんだった。そして。
 ある日家の息子であるヘンリー、金髪に青い目の小学生の彼は母のメアリー、茶色の髪と青い目の彼女に言った。
「お母さん、お庭に猫がいるよ」
「猫?」
「ほら、あそこ」
「ニャア」 
 見れば庭にふさふさの焦げ茶と黒の虎模様の猫がいた、まだ子猫である。息子はその子猫を指差して母に話した。
「あそこにね」
「子猫ね」
「うん、何か迷い込んだみたいだね」
「そうね、動かないわね」
「弱ってるのかな」
「これは放っておけないわね」
 母はすぐに決断した、そうして。
 庭に行ってその猫を保護した、すると。
 猫は弱っていた、それでミルクを与えたが。
「ワン」
「リロ、面倒見てくれるの?」
「ワンワン」
 リロが出て来た、母はリロが子猫の面倒を見てくれると申し出たと解釈して彼女に猫を預けることにした。すると。
 仕事から帰って来た父のリチャード金髪で緑の目の彼はリロの傍で丸くなっている子猫を見ながら妻から事情を聞いて言った。
「そうか、リロがか」
「私が面倒を見るって言ってね」
「今ああしてるんだな」
「ええ、子猫は獣医さんにも見せたけれど」
「大丈夫かい?」
「栄養失調だけれどね」 
 それでもとだ、妻は夫に話した。
「命に別状はないわ、だからしっかりとね」
「ご飯をあげてか」
「大事にしたら」
 それでというのだ。
「体力も回復するらしいわ」
「そうか、じゃあな」
「リロも傍にいてくれてるし」
「後はな」
「ええ、リロが育ててくれるわ」
「立派な娘だな」
 夫はそのリロを見て言った。
「血のつながっていない子達にな」
「兎も面倒を見て」
「今度は猫だからな」
「立派な娘ね」
「いいお母さんだな」
「本当にね」
 そのリロを見て話した、そして。
 リロはこの夜ずっと子猫の傍にいて温めた、猫は温められてもらったその中でゆっくりと寝てだった。
 ミルクも飲んだ、そうしているうちに回復し。
 妻は夫にあらためて話した。
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