第一章
[2]次話
狐と猫の家族
トルコのヴァン家のほとりでだった。
ハールーン=アスラーンは休日釣りをしていた、その時愛猫のミハーネ白い毛であ山に灰色の小さな丸い模様のある雌のヴァン猫の彼女を見た、そうして一緒に釣りをしている釣り仲間に対して言った。
「こいつ魚好きだからな」
「猫だからな」
仲間も応えた、二人共やや浅黒い肌に黒い髪と目である、ただハールーンは四角い顔で大柄だが仲間は丸顔で小柄である。
「それはな」
「ああ、だからな」
「いつも釣りの時はか」
「連れて来ているんだ」
「そうだな、しかしな」
仲間はそのミハーネを見つつ言った。
「この娘目の色がそれぞれ違うな」
「この種類の猫は皆そうなんだよ」
ヴァン猫はというのだ、見れば右目は金色左目が水色である。
「右と左でな」
「目の色が違うな」
「そうだよ、それでそこがな」
「またいいな」
「ああ、本当にな」
こんな話をしながら釣りをした、そしてハールーンは釣った魚のうちの一匹をミハーネにあげようとしたが。
彼女は自分の前に置かれた魚を食べず。
丁度岩陰から顔を出していた狐の方を見て声をあげた。
「ニャア」
「コン?」
「ニャア?」
食べていいわ、そうした動作でだった。
今度は首を横に振った、そしてその魚には口を付けなかった。狐はそれを見るとすぐに魚のところに行ってだった。
その魚を食べはじめた、ハールーンはその光景を見て仲間に話した。
「好きな魚をな」
「わざわざ譲ってか」
「ああ、こんなことをするなんてな」
「思わなかったか」
「とてもな」
こう言うのだった。
「飼い主の俺も」
「そうか」
「しかしな」
ハールーンはこうも言った。
「けれど」
「それでもか」
「ああ、思ったよ」
その思ったことも言った。
「ミハーネはいい娘だな」
「本当にそうだな」
「好きな魚をあげるなんて」
「そんなことするなんてな」
「じゃああらためてこいつに魚やるな」
こう言ってもう一匹魚をやった、そして。
二人が釣りをしている間ミハーネはその狐とずっと一緒にいてまた魚をあげたりした。狐はそんな彼女に深く感謝してだった。
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