第一章
[2]次話
運命の出会いを果たした猫達
痩せたサーバルキャットに似た顔と毛の猫だった。
マツオカ家の猫エンバーはこの時非常に悲しそうだった、家族はそんな彼女を見て項垂れて語っていた。
「折角子供が産まれたのに」
「全部死産なんて」
「そりゃ落ち込むよ」
「こんなことになるなんて」
「そうだな」
一家の主であるトシヤも言った、黒髪に丸眼鏡で黒い目と一七〇位の痩せた身体は如何にも日系人といた風だ。
「どうしたものか」
「このままだと」
妻のサオリも言った、黒髪を長く伸ばした切れ長の黒い目と一五七センチのすらりとしたスタイルの持ち主だ。
「エンバー自身もね」
「参るな」
「最近ご飯をあまりというか殆どね」
「食べていないからな」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「早く何とかしてあげましょう」
「そうだな」
夫もその言葉に頷いた、そしてだった。
一家でどうしようかと話した、そのうえで。
エンバーが子供を失ったのでそれならとなったのだった。
「子猫迎える？」
「そうする？」
「流産した子猫達の代わりに」
「そうして育ててもらう？」
「そうしたらどうかな」
「うちに子猫来てもらって」
子供達が話した、そしてだった。
妻も夫に顔を向けて言った。
「これはね」
「いいな」
夫も頷いた。
「これは」
「そうでしょ、だったらね」
「里親になるか」
「子猫のね」
夫婦も決めた、そうしてだった。
一家はシェルターから一匹の子猫を迎えた、名前はブルームという茶色の雄猫だった。シェルターの人は彼を迎えに来た夫婦に話した。
「ニャ〜〜」
「この子は一匹だけで保護されて」
「親も兄弟もですか」
「わかりません」
こうトシヤに話した。
「産まれて間もなくでした」
「そうでしたか」
「ですからそちらに大人の雌猫がいるなら」
「母親になってくれるからですか」
「有り難いです、生まれてすぐの子は自分だけでは生きられません」
「人間もそうですし」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「是非です」
「うちの猫とですね」
「一緒にさせて下さい、お話は聞いています」
シェルターの人はこうも言った。
「そちらの子のことは」
「子供を全部でした」
「流産してですね」
「凄く落ち込んでいます」
「ならです」
「余計にですね」
「はい、母子にして下さい」
「わかりました」
トシヤも頷いた、そのうえで。
彼も妻もフレームを引き取って家に迎え入れた、そうしてエンバーと彼を対面させると。
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