最終章:無限の可能性
第291話「永遠の別れじゃない」
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姫として、時には家族として、共に過ごしてきた。
そのために思う所は色々あった。
それらを全てひっくるめて、二人は短く言葉を交わした。
「ルフィナ、ミエラ。悪いな、再会したばかりだと言うのに」
「いえ。一時と言えど再会できた。それだけで十分です」
「また会えるのを楽しみにしています。主よ」
最後に己の眷属たる二人に声を掛け、周囲を見渡す。
「皆の“可能性”しかと魅せてもらった!!僕は満足だ!本当に、本当にありがとう!!これから僕は再び人に転生する。いつかまた、再会の時が来る!故に、その時までしばしの別れだ!」
高らかに叫ぶ。
同時に消滅光が一際強く溢れ、光が優輝を包み込んだ。
「さよならは言わない。いつかまた、“可能性”の先で会おう!」
その言葉を最後に、優輝はその場から消滅した。
最後に残った光は天へと伸び、イリスと同じように転生していった。
「………」
「………」
永遠の別れでなくとも、一時の別れだ。
そのため、誰もが何も言いだせず、沈黙が続く。
「……時間がないからって、後の事は私に丸投げなのね」
ただ一人、優奈は呆れたように光が消えた上空を見ながらそういった。
「ほら、しんみりするのも分かるけど、まずは帰りましょう。いつまでも神界にいたらそこの出入り口が閉じれないでしょ」
手を叩いて優奈は全員に催促する。
「でも……」
「でもも何もないわ。これからどうしていくか細かい部分も決めていかなくちゃならないんだから、戦い終わってはい終わりとはいかないのよ」
何人かは名残惜しそうに渋るが、それを無理矢理押して神界から追い出していく。
そんな優奈の態度に、いつまでもしんみりしてられないと、一部の者達も帰っていき、最後に優奈と祈梨達。そしてずっと見ていたアリスだけとなった。
「では、貴女達が出た後は私が閉じておきます」
「頼むわ。神界の事は貴女に任せたわよ」
「はい。お互い、後始末を頑張りましょう」
アリスの言葉に、優奈は苦笑いする。
「しばらくは神としての力も使えないし、のんびりやっていくわ」
先ほどの代償で、優奈は理力を完全に失っていた。
再び戻るのは、人としての寿命を完全に終えてからだろう。
「次会う時は、もっとゆっくり話せるといいわね」
「私もです。貴女の……ユウキ・デュナミスの話には興味が尽きませんから」
その言葉を最後に、優奈達も元の世界へ帰って行った。
アリスはそれを見送り、約束通りに出入り口を閉じるのだった。
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